第24話 対空戦闘
日本側の第三次攻撃隊が東洋艦隊上空に到着した半時間前、英軍の第二次攻撃隊は南遣艦隊まじかに迫っていた。英側の第一次攻撃隊の出撃が日本側に比べて遅かったのは大西洋の戦いで対潜戦闘しか経験しておらず編隊を組むのに時間がかかったのもあったが、何より急いで東洋艦隊が出撃したため整備員が空母に定数乗っていなかったという切実な事情があった。それでも英軍は他の科の飛行機整備経験がある人員を引き抜いて整備にあたらせ、なんとか攻撃隊を送り出したのだ。
(第二次攻撃隊)
アークロイヤル フェアリーフルマー12機 ブラックバーン スクア18機
インドミタブル シーハリケーン18機 フェアリーアルバコア 8機
ハーミーズ所属機 フェアリーソードフィッシュ7機
そしてこの攻撃隊の接近は対空電探に探知される遥か前から基地航空隊の偵察機に見つかっており、小沢が命令を出すまでもなく20機以上の零戦、九六艦戦が順次襲い掛かった。英軍は足の遅い複葉雷撃機を先に出撃させており、それに護衛の戦闘機30機が続いていた。最初は護衛の無い雷撃機が一方的に損害を出し、8機が撃墜された。だが布張りの複葉機ならではのタフさは戦闘機隊の銃弾をそれなりに消耗させ、零戦に至っては20㎜機銃を撃ち尽くすパイロットもいた。英軍の戦闘機隊が駆けつけたのはその時である。数の上でも形勢は逆転し、銃弾を損耗していた日本側は苦戦を極めた。しかし第四次攻撃隊を出していない日本側は更に17機の戦闘機を送り込み、この時点で日本軍機は8機撃墜されていたのでほぼ互角の戦いとなった。攻撃隊を守らないといけない英側は思うように動けなかったがシンガポールのF2A戦闘機16機が加勢すると日本側も思うように手出しができくなった。英側の攻撃隊が遂に南遣艦隊の空母を視界にとらえ、雷撃隊が低空からの接近を試みる。ソードフィッシュがいきなり爆発したのはそのときだった。
「命中!」
羽川が声を上げる。偵察任務から重巡最上に帰投し補給を受けていたところに敵機が来たので迎撃のために射出し出撃したのだ。他の2機の一式水偵と共に面白いように敵機を撃墜し、殆どの機は反転したが、3機がなおも直進した。そのうちの2機のみが投雷をしたが回避行動で悠々とかわされ、対空砲火で撃墜されて雷撃隊は結局全滅した、が...。その間、高空から迫る編隊を目にとめたものはいなかった。
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『祥鳳型航空母艦』
(諸元)
基準排水量:1,1000トン
全長:200.20m
全幅:20m
飛行甲板全長190×23m
速力:34ノット、
(武装)
12.7cm連装高角砲4基、25mm 連装機銃12基、13.2mm単装機銃50基、
(搭載機)
常用28機、補用6機、
(同型艦)
祥鳳、瑞鳳、龍鳳、
(概要)
龍驤に続く軽空母。正規設計のものであり史実の潜水母艦を改造した龍鳳型とは別物、なおその潜水母艦(大鯨、剣埼、高崎)はトラックで仲良く潜高型の補給にあたっている。当初16隻の大量建造が予定されていたがより量産性に優れ搭載機数も多い十勝型の建造に移行したため3隻にとどまった。開戦時は祥鳳は南遣艦隊に、瑞鳳、龍鳳は第二艦隊直属として船団護衛にあたった。新規に建造している商船ベースの護送空母の就役は1943年以降であり本型はまだまだ船団護衛の戦力としての活躍が見込まれる。
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