第22話 第三次攻撃隊

『橘型駆逐艦』

(諸元)

基準排水量:1,330トン

全長:100m

全幅:9.35m

速力:27.8ノット

(武装)

八九式 12.7cm(40口径)高角砲単装1基、同連装2基

九六式 25mm機銃3連装10基

20mm単装機銃20基

九四式爆雷投射機4基、爆雷60発

(概要)

松型は元々、空母を大量配備するとなった際に護衛艦艇の建造が間に合わないということから建造された量産型駆逐艦だが、それをさらに量産化したのが橘型である。魚雷兵装を廃止し主砲塔を一基増設、爆雷、機銃を増やすなどの変更が行われ、艦形も造りやすい直線的な形になった。この橘型の船体設計を流用した、松型と同兵装の榊型や対潜戦用の白菊型、多目的海防艦の楠木型など派生型も多岐に渡り、多方面で任務に従事している。本型は数の上での“繋”であるが、その多用性から前線では手軽な駆逐艦として数多くの提督から愛用されている。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




敵機来襲の報は長門の司令部にも届いた。だが英軍の攻撃隊は40機程でちょうど仏印の基地から零戦が20機程、陸攻の援護のために来ていたので心配はなさそうだ。


「この機に及んで反撃ですか、自殺行為だ...」


航空参謀が言う。


「奴らはわが軍を見くびっていたのでしょうな、さっさと始末しましょう」


澤田が小沢に言う。


「ああ、戦闘機隊のいい経験になるだろう。各艦に捕虜は丁重に扱うように厳令しておいてくれ。」


「はっ!!」


小沢は攻撃隊に付ける戦闘機を少なくしていたので手元には新旧30機以上があった。それに基地航空隊の零戦20機、多勢に無勢だった。12機のハリケーンはそこそこの戦いを見せたがその間に零戦に攻撃された複葉の攻撃機は壊滅、ハリケーンも結局零戦に追撃され全滅した。味方は零戦と九六艦戦が一機づつやられたがどちらも搭乗員は脱出した。完勝であった。第3次攻撃隊は10分遅れて出撃し、その頃、偵察機から戦果報告が来た。この時確認されていた戦果の累計は


「潜水艦累計、ネルソン型一隻、リヴェンジ型一隻、未確認五隻/第一次攻撃隊、リヴェンジ型戦艦二隻、巡洋艦一隻撃沈、/第二次攻撃隊、空母ハーミーズ、リヴェンジ型戦艦一隻、駆逐艦三隻/基地航空隊、ネルソン型一隻、巡洋艦2隻」


であった。これは日本側の確認なので実際の被害との若干の相違がある。


「我が軍の完勝ですね」


戦務参謀が言う。


「いや、まだ敵には空母が二隻も残ってる。これを撃滅するまで安心はできんぞ」


澤田が言う。


「第四次攻撃隊は出せますが搭乗員も疲弊しています。敵は撤退しているようですし空母の追撃は基地航空隊にまかせて、こちらは戦闘機だけ出撃させるのはどうですか?」


航空参謀が提案する。


「今も基地航空隊の陸攻は敵艦隊に攻撃を続けているそうだ。確かに空母二隻だけなら基地航空隊だけで十分だ」


漆原が言う。小沢はその案を採用した。そのとき、電信員が入ってきて小沢の耳元で話し、足ばやに出て行った。


「基地航空隊が敵空母を一隻撃沈し、もう一隻を大破させたそうだ。恐らく第三次攻撃隊が止めを刺すだろう。その必要はないようだ」


司令部の面子はその戦果に歓喜した。小沢は内心で、遂に時代の変わり目が来たことを、感慨深く考えていた。航空攻撃のみで行動中の艦隊を撃滅したのだ...。


(第三次攻撃隊)

飛鷹 零戦3機 九七艦攻8機 九九艦爆5機

隼鷹 零戦3機 九七艦攻10機 九九艦爆5機

祥鳳 九六艦戦2機 九七艦攻9機 九六艦爆3機

龍驤 九六艦戦4機 九七艦攻5機 九六艦爆4機

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る