第2話 

戦艦ウェストバージニアでは壮絶な復旧作業が行なわれていた。急降下爆撃機が投下した250キロ爆弾が第三砲塔を貫き弾薬庫で爆発したのだ。ほかにも2カ所に250キロ爆弾を被弾しており対策班がポンプとホースで消火活動にあたっていた。艦長のマーヴィン・S・ベニオン大尉はこの被弾で艦橋から転落し重症を負いながらも指揮をしていた。九七艦攻隊が魚雷投下を開始したのはその時だった。やがて戦艦泊地バトルシップ・ロウの戦艦群に水柱が立ち始めた。傾斜し燃える戦艦群に第二次攻撃隊が襲い掛かったのは40分余り後の事だった。既に沈没しかかっている戦艦を見て、艦爆は周辺施設や小型艦艇の攻撃にうつったが、それでも28機の九七艦攻が戦艦群に狙いを定めていた。そして第二次攻撃隊が帰途へついた時、戦艦泊地バトルシップ・ロウには一つもの艦影も残っていなかったのである。


攻撃隊が狙いを定めたのは艦艇だけではなかった。第二次攻撃隊が飛来してから数分後にはホイラ―、ヒッカムの2大航空基地に再び機銃掃射と投弾がありここにハワイの航空戦力は一掃された。また工廠等への爆撃も激しく特に軽油燃料タンクの大爆発は周りの施設を巻き込んで起きたため多くの死傷者が出た。さらに小型艦への攻撃も続き日本側の戦果報告では重巡2撃沈、1撃破、軽巡3撃沈、1撃破、駆13撃沈、5撃破などなどとかなりの戦果をあげたことが分かる。また補給艦や給油艦、輸送船なども多く撃沈しており、特に工作艦メデューサの撃沈は大きな戦果といえよう。だが、空母が不在だったことは今後の行動に大きな影響をおよぼすのである。


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