第70話 三神と九九艦爆
主力の空母3隻(ヨークタウンは落伍、修理中なので実際は2隻)から成る
第4群は最新鋭の防空巡洋艦アトランタ級4隻、ブルックリン級4隻でこれはオマハ級軽巡と軽巡セントルイスを除くアメリカ海軍所属軽巡の全てであった。
「
アトランタの艦長、サミュエル・P・ジェンキンズは敵機が射程に入った瞬間、防空指揮所に激を飛ばした。6基の5インチ連装砲が俯角をかけ、敵機に向かって鉄塊を撃ち込む。
アメリカ海軍の駆逐艦の主砲は一部を除いて全て両用砲であり、アトランタ級の主砲もそれと同一のものだ。速射の効く5インチ砲は日本が使っている12.7㎝高角砲よりも高性能かつ高威力だ。
戦艦を含む艦隊の全ての艦がその5インチ砲を敵機に振り向ける。敵機が射程に入ってきてしまった以上、防空網は突破されたということだがアトランタ級は善戦していた。数十秒の間隔で敵編隊が少しずつ削れてきていた。
守れなかったか...。そう思うジェンキンスをよそに、数機の
煙が去った後にはサラトガの艦橋は煙突ごと無惨に原形をとどめない鉄屑に変わっており、周りの艦を飲み込む勢いで燃えていた。そしてサラトガに攻撃をしなかった
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『アトランタ級軽巡洋艦』
〈諸元〉
基準排水量:6,480 トン
全長:165m
全幅:16.1m
速力:33ノット
〈武装〉
5インチ(12.7センチ)連装両用砲6基
40㍉4連装機銃6基、連装4基
28㍉、12.7㍉連装、単装機銃多数
(同型艦)
就役済み7隻、建造中7隻、計画中18隻
(概要)
ホーネット級航空母艦の追加建造計画と共に建造が開始された防空巡洋艦。当初の計画では5インチ連装砲8基を搭載予定であったが重量削減のため両舷の魚雷発射管と共に撤去された。
そのため復元性や安定性、量産性は優れており高速を生かした機動部隊の護衛役として期待されている。装甲については駆逐艦よりも薄い
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フレッチャーは
「サラトガ、被弾!」
数百メートル隣を航行していたサラトガが原型を留めない構造物を乗せて燃えながら前に進んでいるのが見えた。だがそれを見ている時間は3秒となかった。両舷の機銃は雨霰と赤い火箭のカーテンを作っていた。
「敵機直上、急降下してきます!」
上を見上げると5機の
続いて2発目と3発目も艦長の操艦で回避し、至近弾になっただけだった。しかし幸運はそう長続きするものではない。回避したことで残る2発の落下地点に艦首を突っ込む形となったのだ。黒い塊が2つ、飛行甲板の前部に吸い込まれた。1発目は飛行甲板を貫通し格納庫内で炸裂、直上の飛行甲板を内側から捲れさせると共に、爆発によって格納庫内に待機していた燃料、爆弾満載の第2次攻撃隊の機体を誘爆させた。格納庫内で爆発が続く中、2発目は格納庫の床を貫通しその下の居住区甲板で爆発した。その命中させた
幸運だったのはその後突撃してきた雷撃隊の魚雷の被雷が一発だけだったことであろう。格納庫内の火災はダメコン班による1時間の奮闘によって鎮火し、戦闘不能に追い込まれたとはいえ、ヨークタウン級の強力な防御力とダメージ・コントロール能力を受け継ぐホブカークスヒルは全速力で戦線を離脱した。
対象的にサラトガは雷撃を受けていないにもかかわらず被弾で艦橋が艦長もろとも鉄屑になり、戦闘航行が不能になった。命令系統が消滅したサラトガはまともなダメコンもできないまま燃え続けていた。フレッチャーは復旧が終わったヨークタウンに旗艦を移した。
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