1942年4月

第二段作戦会議

第39話 GF荘

〈1942年、3月までの米国主力艦損失一覧〉

[戦艦]

• アリゾナ

12月8日真珠湾で被弾着底後、艦砲射撃で原形を留めないほどに大破

• ペンシルベニア

12月8日真珠湾でドッグ入渠中に被弾、同じく損失

• ネバダ

12月8日同じく被弾損傷、同損失

• オクラホマ

12月8日同じく被雷転覆、同損失

• テネシー

12月8日同じく被弾着底、同損失

• カリフォルニア

12月8日同じく被弾機関損傷、同損失

• コロラド

同じく

• ウェストバージニア

同じく

[航空母艦]

• レキシントン

12月8日ハワイ沖で潜水艦の雷撃により沈没

• ラングレー

2月27日ボルネオ沖で零式陸攻の攻撃により沈没、なお開戦時は水上機母艦に改装されてきた



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現時点で連合艦隊司令部が設置されているのは海軍省内の一角、海軍省本庁の東側の新築された三階建ての建物、通称『GF連合艦隊司令部荘』である。若干の防弾性を持たしたコンクリート造りで総床面積は1万2千平方メートル(地下は含めず)、窓ガラスは開戦前にイギリスより輸入したスタンドグラス、大和田通信基地との直通有線ケーブルが備わった地下20mにまである吹抜けの段状指令所、常時数百人が詰めている。雑用船から戦艦まで連合艦隊を管軸下に置き指揮するGF司令部は一般的に主力艦を旗艦としそこに司令部を置いていたがそうすると旗艦は戦場に出しにくくなるほか、前旗艦である長門の艦橋には第一戦隊司令部と混雑しており指揮系統やスペースの上でも支障があった。GF荘は長門の旧司令部の人員や書類のほか、軍令部や前線勤務部隊から引き抜いた戦略眼に優れた者たち、雑務や敵信などをする本来であれば個別の部隊ごとに各地に散っている者たちも直属部隊として組み込まれていた。伊勢型、扶桑型の4隻が空母に改装され長門、陸奥が南遣艦隊に編入された今、第一艦隊は事実上解体され書類上は存在するものの所属艦は地方部隊や仮設艦隊に組み込まれた。井上が南遣艦隊の司令官である小沢治三郎を見つけたとき彼はGF荘の門前で立ち止まって中央の大広間の直上にあるガラス張りのドームを見つめていた。

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