第77話 金剛型VSノースカロライナ級4
『ブルックリン級軽巡洋艦』
(諸元)
基準排水量:9,700 トン
全長:185.4m
全幅:18.9m
速力:33.6ノット
(武装)
15.2㎝3連装砲5基
5インチ(12.7㎝)単装高角砲8基
40㎜4連装機銃4基 20㎜、12.7㎜、連装、単装機銃計54門
(搭載機)
水偵4機
(概要)
ワシントン軍縮下で建造された条約型巡洋艦。最上型軽巡に対抗する目的で造られ、速射性が高い15.2センチ砲15門を積んでいる。砲火力が特化している本級は対水上戦において敵の巡洋艦を手数で圧倒することができる。ただ、対空兵装が貧弱であり、より多くの高角砲を搭載した後続のクリーブランド級の就役が待たれている。また装甲も排水量制限のため満足のいくものではない。ちなめにこの15.2センチ砲は砲身が短く初速が遅いため某ゲームではゆるふわ弾道艦の一種として扱いが難しいことが有名である。
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しかし戦艦同士の砲撃戦はまだ続いていた。霧島が落伍したせいで後続の比叡と榛名はそれを回避しようと回頭した。
そのおかげで敵2番艦の射撃照準が狂い比叡は運よく被弾を免れた。霧島が沈黙してからまもなく、金剛も敵1番艦の砲撃に夾叉された。その水柱は艦橋を覆うような高さであり、砲口径の違いを実感せずにはいられなかった。
これは近藤の知ることではないが米軍はSHSと呼ばれる大重量砲弾(Super Heavy Shell)を使用しており砲弾重量は1200㎏である。長門型の主砲の砲弾重量が1000㎏なので1.2倍、金剛型の主砲の砲弾重量は670㎏なので2倍近くになる。要するに金剛型4隻32門とノースカロライナ級2隻18門ではノースカロライナ級は投射量が2倍の為、事実上32門対36門と同等である(装填速度は両型共に毎分2発程で大差は無い)。しかも威力が桁違いの40㎝砲弾なのだ。
「来るぞ...」
敵1番艦が何度目かの斉射を放つ。入れ違いに金剛も斉射を放った。そして30秒もしないうちに敵の砲弾は着弾した。金剛は幸運だった。命中弾は2発のみでそれも艦首に集中した。ただこんだけ重量級の砲弾が命中すると紙装甲の水平装甲だけにならず下甲板まで貫通し、なんと2発とも艦底を突き抜けた。破孔からは海水がどっと溢れだし、最下甲板から浸水していった。
おかげで速力が落ち、次の斉射は金剛の前方に水柱が立っただけで終わった。必至で乗組員達は隔壁を封鎖し応急工作をしていたが、艦が前方に向けて傾きつつありこの傾斜では射撃は不可能だった。
「次で終いだな....。...?」
近藤は覚悟をしていたが敵戦艦は発砲しなかった。入れ違いに金剛がお見舞いした三式弾がどうも敵艦の砲撃関連機器に損害を与えたのか、それとも艦橋を吹き飛ばしたのか。いずれにせよ近藤は命拾いをしたのであった。
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