荒海の群龍

ナミト

プロローグ

1941年12月8日現地時間4:30

ハワイ、オアフ島

原田大尉の乗る九七艦攻は海岸線が見える距離までハワイに接近していた。

「少佐殿、信号発信用意完了しました。いつでも送れます!」後部座席の勝浦大尉がまだかまだかという声でそう言った。

「まてまて、タイミングが重要なんだ。」原田はそういうと手元の腕時計に目をやった。現在時刻は4:37分。予定道理であればもう宣戦布告書をワシントンの駐在外交官が渡しているころだ。宣戦布告はハワイ時間4:30だからもういいだろう。

「よし、大尉、打電してくれ。」

「了解!。ツツツーツ、攻撃開始を打電します。」勝浦が弾む声でそういう間にも機長は機体をバンクさせオアフ島に向けた。「打電完了!」各機が徐々に旋回し編隊が複雑に入れ替わってゆく。そして、編隊は真珠湾へと差し掛かろうとしていた。

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