第28話バレた
「それで…コレだけでしょうか?もしまだ隠してるものがあるならすぐに渡して下さい」
「えっ…いえ…それだけ…」
もう無いと言おうとすると南明様がそれを遮った。
「もし、嘘がバレた時はそれなりの罰を与えます。よく考えて下さいね」
「……申し訳ございません…」
俺は南明様の圧に王蘭様から預かっていた本物の鶴の紙を足の下から出した。
「そんなところに…」
南明様はそれを嫌そうにつまんだ、そして同じように開くと…
「王蘭にはコレをどうしろと言っていたのですか?」
「その紙を雲垓様に渡して欲しいと…」
「雲垓に?」
「はい、王蘭様のお知り合いのようでしたが…やはり逃亡の事など書いてあったのですか?」
もしそうなら俺は…
黄はグッと地面を掴んだ。
「いえ、コレには#何も書いてありません__・__#」
「へ?な、何も?」
「はい…何も…」
南明様はペラっと紙を裏返して見せた。
「し、しかし…」
黄はわけがわからずに首を傾げた。
「コレは預からせてもらってもよろしいですか?」
「はい…」
黄は頷くしかなかった…
南明は警備兵の黄から預かった紙を眺める。
あの後透かしてみたり、炙ってみたりと色々と試して見たがいっこうに文字の一つも出てこない。
しかももう一枚の紙に書いてある解読不可能な文字を見つめてため息をつく。
南明が今まで見た事もない文字だったからだ…
「折り紙といい、この文字といい…王蘭様は何者なんだ?」
後宮に入る際の王蘭様の資料をもう一度確認してみたが王蘭様が生まれた洲から出たという記実も無い。
いったいどこであの文字を覚えたのか…それともあの文字に意味はなくただからかう為に描いたのか…
考えれば考えるほど謎だった。
「仕方ない…」
とりあえずは唯一の接点の雲垓に聞いてみる事にしようと南明は陛下を護衛中の雲垓の元に向かうことにした。
「仁陛下、仕事の進みはどうでしょうか?」
南明が声をかけながら部屋に入ると仁陛下に睨まれた。
「見てわかるだろ!」
南明は渡した書類が半分以下になってる事に気が付き微笑んだ。
「ご苦労さまです。少し休憩してください」
女官を呼んでお茶の準備をさせる。
その間に雲垓の元に行くと…
「雲垓、少し聞きたいことが…ちょっとよろしいですか?」
「はい!陛下は…」
「構わんぞ、ここから動く気はない」
疲れたのか椅子に深く腰掛けてぐったりとしている。
「では、あなたは王蘭様をご存知ですか?李家の王蘭様です」
「ん…何処かで…」
名前を聞いて雲垓は顔を顰めた。
「先日後宮内にある川で溺れた方です。あなたに何か渡したい物があると警護中の黄に接触したのですが…」
「申し訳ございません、私は王蘭様とは面識はありません。名前は知っておりますが…」
「ですよね、こちらで調べてもあなたとの接触も一切ありませんでした。一体なんの用なのか…」
南明がうーんと考え込んでいると
「なら会わせて見ればいいんじゃないか?」
「それもそうですね…どうでしょう、雲垓会ってみますか?」
「はい」
雲垓は両手を前で合わせた。
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