第42話始まり

「王蘭様、今日は後宮の后候補の皆様とのお茶会ですよ!お支度をお早く!」


「え~!?」


面倒くさい…


私はベッドに寝転びながら不満な声を出した。


「正妃候補の優麗様から皆へのお誘いです!無視するわけにはいきませんよ!」


春さんからのお叱り声が飛ぶ。


最近春さんはまるでお母さんのように感じる・・・・・・


決して口に出して言えないが・・・・・・


「はーい」


渋々立ち上がると、凛々が服を脱がしてくれた。


ここでの妃候補としての振る舞いに慣れも出てきた。


「凛々いつもありがとう~」


感謝しながら着替えさせてもらう。

自分でもしてみようと頑張ったがここの服可愛いけど複雑で助けを借りないと着ることも出来ない。


それに凛々がした方が早く綺麗に仕上がることがわかってからは素直に着替えさせてもらっていた。


「ふふ、それが私の務めですからお礼などいいのに…王蘭様はいつも感謝してくれるからこちらもやりがいがあります!」


凛々は気合いを入れて私を着飾ってくれた。


「お茶菓子はこちらでよろしいでしょうか?」


春さんが事前に用意したお菓子を持ってくる。


「うーん、見た目が良ければなんでもいいんじゃない?あっ!この前仁から貰ったお菓子はどうかな?あれ結構美味しいよね!」


「あ、あれですか…あんな高価な物を下さる仁様とは、一度お礼を申し上げなければ・・・」


「大丈夫、大丈夫!その代わりにこっちもそれなりの物を返してるから春さんは気にしないで!じゃあお土産はそれで…でも一応予備でもう一つ持って行ってくれる?」


「わかりました」


春さんは頷くとお菓子を綺麗な布で包んだ。


「はい!王蘭様出来ました!」


凛々の方も終わったようで仕上がりに満足そうにする。


「やっぱり王蘭様はお綺麗ですね!毎日ちゃんと気飾れば皇帝陛下からのお声もかかると思うのですが…」


「いいの、いいの!そんなのなるだけ大変よ、私は今の緩い感じがいいわ!そのうちに素敵な人を見つけて…」


うふふふ!


ニマニマと笑う。


南明様にもいい人がいたら紹介してもらう予定だし、今度鈴麗様に会ったら雲垓様の友達でいい人いないか聞いてみよ!


お茶会など憂鬱だったがこれからの事を思って少し気分も上がってきた!


「じゃあ行きますか!」


気合いを入れて立ち上がる。


「王蘭様、皆様の前ぐらいはお淑やかにお願い致しますよ!」


「はーい・・・」


春さんに出鼻をくじかれる。


「ふふふ」


凛々が私達のやり取りにクスクスと笑っていた。




早速指定されたお茶会の広場へと向かうと…


「あら、あの方まだ居たのね…」


「なんか鈴麗様を追い出したと聞きましたが、よくもまぁ顔を出せた事」


集まった妃候補達の噂話が止まらない。


はぁ…どこの世界でも女の陰口はあると思うがやっぱりここ(後宮)はそれが酷い気がする。


陰口とは聞こえないように言うもんだと思っていたが…ここでは本人に聞こえるように言うのが一般的らしい。


「あー本当にうっさいわー」


思わず声が漏れる。


「えっ!?今あなたなんて言いまして!」


目ざとく聞き耳を立てた人がキツい目をさらに釣り上げて迫ってきた。


「なんでもありませんよ~鳥のさえずりがうるさいなぁ~と思っただけです~それとも何か?私にうっさいと言われるような事でも仰られたのですか?」


私はにっこりと微笑んで対応した。


「べ、別に…口の利き方に気をつけなさい!」


「はーい!申し訳ございませんでしたー」


私は首を斜めにして見上げるように頭を下げた。


この角度上から見ると頭にくんのよね…


申し訳無さそうな顔をして心の中で笑っていた。

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