第116話気持ち
仁がヤキモチを焼いた?
王蘭はまさかと仁を見つめる。
仁は少し頬を赤くして気まずそうに横を向いていた。
「王蘭が、危機感が無いから心配しているんだ…それともあんな男がいいのか?」
「いいわけないです!」
王蘭が大声で否定すると仁は慌てて王蘭の口を塞いだ。
「しー、まだ近くにこの屋敷の者がいる…もう少し声を落とすんだ…」
「んんんんん…」(すみません…)
王蘭がしゅんとして謝ると仁はそっと手を離した。
そして黄燕と同じように王蘭の肩を掴んで抱き寄せた。
「ほら、こんな事をされて嫌じゃ無いのか?」
わざとらしく力を込めて抱き寄せた。
王蘭は真剣な顔でその感触を確かめる。
王蘭の真剣な表情にやりすぎたかと手を離そうとすると王蘭の手がそっと仁の手に触れた。
「いえ、嫌じゃないです」
王蘭の答えに仁は離そうとした手を止める。
「そうか」
王蘭の答えに仁は何とも言えない気持ちになった。
やはりあんな男でもいいのかと悲しくなる。
「仁なら嫌じゃない」
「え?」
王蘭を見ると先程と同じように真剣な顔で仁を見つめていた。
「あの男に同じ事をされた時は心底ゾッとした、全身から鳥肌が立ちそうになってその手を振り払いたかった。でも今は全然嫌じゃないの」
「そうか」
仁は喜びを隠しきれずに口元が緩んだ。
そして王蘭を見つめたままそっと顔に手を添える。
そのまま顎に手を移すと上を向かせた。
「仁?」
王蘭はされるがままに大人しくしていると…
「仁様、お楽しみのところすみません…」
いつの間にか静が後ろに立ちおずおずと言った感じで声をかけてきた。
仁はピタッと王蘭に近づこうとしていた顔を止めた。
そしてゆっくりと後ろを振り返る。
「いや…大丈夫だ。それでどうだった?」
ゆっくりとまた歩き出したながら静に話を聞く。
静も同じ速度でゆっくりとついて行きながら話を進めた。
「このまま左の道を進んで奥に向かってください。そこにあの馬鹿息子の離れが建っております。見張りが居たので中までは確認出来ませんでしたが外から女の泣く声が聞こえました」
「そこです!私もそこに捕まってました。中には鳥籠の様な牢屋があって女の人達が数名捕らえられていました。みんな無理やり連れてこられたりしたんだと思います」
王蘭は間違いないと二人に説明する。
「ではそこまで案内してくれ」
「はい」
静が歩き出すとその後ろを仁と王蘭でついて行く。
しばらく進んでいくと静が後ろを気にしだした。
「何かありました?」
王蘭が気になって後ろを振り返ると…
「おい、何処に行くつもりだ」
そこには男達を何人か引き連れて黄燕がこちらを睨みつけていた。
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