第10話救助
「そのままの意味だけど…そうね他の人もいたら話しにくいわね…ねぇあなた達ちょっと席を外してくれる?私王蘭様と二人で話がしてみたいの」
「しかし鈴麗様!」
女官の一人が反対するように顔を歪めた。
見れば春さんも眉をひそめ反対だと顔が言っている。
「お願い」
しかし鈴麗様の言うことに逆らえるはずもなく女官達は渋々その場から離れた。
離れはしたがある程度見える位置で待機しているが話は聞こえることは無いだろう。
「ごめんなさいね、それでなんで溺れたのかしら」
「そ、それは足を滑らせて…服の重さに耐えられずに上がって来れなかったのです」
「え?それだけ?」
鈴麗様はつまらなそうに顔をみつめてくる。
「はい…」
「なんだ…あなたは私と同じだと思ったのに…」
鈴麗様はこちらに興味が無くなったのか立ち上がると池の方へと向かいだした。
「り、鈴麗様?」
嫌な予感に声をかけがこちらの声など気にする様子もなく私がまさに落ちた橋の上に行った。
そして同じように池を覗き込み手を伸ばした…
ポッチャン!
駄目だ!
あの人はあの時の私と同じ!
私は考えるより先に足が動いていた!
重い服を脱ぎ捨てて身軽になると迷わず池へ駆け出した。
あの時は溺れたが前世は運動神経抜群!頭から池に飛び込むと沈んでいく鈴麗様を掴んだ。
鈴麗様は気を失っているのか抵抗することなくダランとしている、そのおかげでどうにか水の上へと引き上げる事が出来た!
「こちらに!」
上に上がると女官達が手を伸ばした。
鈴麗様を渡すと数人で引き上げる…自分もあがると凛々と、春さんが泣きそうな顔で迎えてくれた。
「王蘭様!何度も…」
「ごめんね、でも今回は人助けだよ」
苦笑して布をもらい羽織ると鈴麗様の元に向かった。
「鈴麗様!」
女官達が必死に声をかけるが鈴麗様が目を開ける素振りはない…
「ちょっとどいて!」
私はあわあわするばかりの女官達を退かすと鈴麗様の脈を測った。
これは…
私は鈴麗様の服を脱がせると心臓マッサージを施す、こんな時の為に授業を受けといてよかった!
交互に人工呼吸をすると、女官達から悲鳴のような声があがる。
「鈴麗様になにをする!」
私の肩を掴むと引き剥がそうとした。
「うるさい!今助けてる!邪魔するな!」
女官達の手を払い落とすと春さんを呼ぶ。
「春!私の合図と共に私がさっきしたように鈴麗様の胸部を三十回押して!」
「え!?」
「早く!いい!肘は曲げずにまっすぐ下ろすのよ!」
「は、はい!」
私の真剣な顔に春さんは慌てて頷くと鈴麗様の胸部を押した。
「1.2.3…30!」
春さんの心臓マッサージを確認してすかさず人工呼吸をする。
「ふー!ふー!はい!押して!」
「は、はい!」
私達の行為に鈴麗様のお付の女官はみるみる顔を赤くした!
「いい加減にしてください!誰か医師をそれに警備兵も呼んできて!この無礼な人達を早く押さえつけて!」
女官長らしき年配の女性が叫ぶと呆気に取られていた女官達が一斉に私達を押さえつけた。
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