第37話普通の生活
「あっ!そう言えばここから出してもらえるのか聞くの忘れた!」
仁が帰ってから大事な事を思い出した!
ついそんなに悪くないここの生活に慣れつつあった…人がくれば我が家の様なくつろぎようである。
仕方なしにまた人が来るのを折り紙をして待つことにした。
今度は兜でも折れば喜ぶかな?
仁の喜ぶ顔を想像して一人笑って折り紙に手を伸ばした。
仁は護衛の兵士と共に執務室へと戻ってくると…
「陛下!この忙しい時に何処で油を売っていたのですか!」
南明が目に隈を作ってこちらを睨みつける。
「すまん、王蘭のところにいって秘密とやらを聞いてきた」
「はっ?おひとりで行ったのですか?」
「そうだ」
「なんで私に声をかけなかったのですか!」
「いやなんか忙しそうだったからな。ちゃんと代わりに聞いてきてやったぞ」
仁はドサッと椅子に腰掛ける。
「忙しいのは仁陛下が勝手に鈴麗様を後宮から出したからじゃないですか!私がどれだけ各所に根回しをしたと!!」
「さすがだな!南明はすごい!サイコー!」
仁はパチパチと手を叩いて南明を労った。
「サイコ?一体どういう意味ですか?」
南明があからさまに顔を顰める。
「王蘭から聞いた言葉で良い奴と言う意味らしい」
「それも秘密のひとつですか?」
南明は話をしながら書類に手を伸ばすと、顔を書類に向けながら聞いてくる。
「秘密のほんのひと握り…と言ったところかな…コレを見てくれ」
仁は王蘭が折った手裏剣を取り出す。
「コレは…折り紙?また違うものを折ったのですか」
「コレは手裏剣と言う、ニンジャと言う忍ぶ者が使う武器だと…」
「武器?忍者…」
南明は手裏剣を眺めた。
「忍者とはこの国で言う暗部の諜報員や間者といった意味らしい…この後宮に入るまで何処に行ったことのない娘がそんな事をなぜ知っている?」
「何処かの国の間者…でしょうか?」
「いや、そうとも思えん…だから彼女の秘密を聞いて本当にそうなのではないかと納得しそうになっている」
「王蘭様の秘密とは?」
仁は周りを確認して人払いを済ませると声を落とした。
「王蘭は前世の記憶があるそうだ…今までのの知識は前世での記憶らしい」
「は?」
南明は真剣に話す仁陛下を見つめた。
「陛下はまさかそれを信じていないですよね?」
「もちろん信じていなかった…半分はな」
「半分は信じていると?」
「では今までの我々に知らない知識をどう説明する?前世の記憶と言われると妙に納得いく部分もある…この手裏剣がそうだ。おい!#静__ジン__#」
仁が声をかけると音もなく黒い影が舞い降りた。
「この武器を見たことあるか?」
その影は仁のまさに間者だった。
「いや、見た事ないですね。でも興味深いどうやって使うのですか?」
「こうやって投げて使うらしい」
仁は王蘭に聞いたように投げて見せた。
紙なので上手く行かないがまぁまぁの飛距離を見せた。
「へぇ…」
静は落ちたそれを掴むと柱に向かって軽くショック投げつけた!
ピシッ!
「ギャッ!」
それは柱の間を抜けて何かに突き刺さると声が漏れた。
「盗み聞きとは行儀が悪いな」
南明が駆け寄るとそこには手から血を流す大臣の姿があった。
「こんなところで何を?」
「いえ、ただ…書類を届けに…そしたら話し声が…」
「嘘だよね?ずっとそこで息を潜めていたし…」
静に言われ大臣はグッと睨みつける。
「まぁ吐かせるのは得意だから…」
大臣の襟足を掴むとズルズルと引きずって行く。
「じゃあ僕は行くね、この武器結構いいね」
大臣から手裏剣の折り紙を引っこ抜くと血が着いていた。
「では作らせてみよう」
返事を聞く前に静はもう消えていた。
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