第67話相談
「ちょっとよろしいですか?」
春は女官達を集めて自分が今日で紅花様の元を離れる事を話した。
「春さんとうとう帰ってしまうのですか…」
「そんな、まだ色々教えて欲しいです」
女官達は不安そうに春さんを潤んだ瞳で見つめる。
「あとはあなた達で頑張ってみなさい。何かあれば話くらいは聞きますから」
「はい」
「それと…休憩室ですがあそこは声が響きます。内緒話をする時は気をつけなさい」
「「「えっ!?」」」
覚えがあるのか女官達がビクッと肩を揺らした。
「後宮はどんなところで誰が話を聞いているかわかりません。自分の言った言葉に責任を持てないなら口にする時は注意なさい」
「は、はい!」
「それと…明日ですが紅花様が王蘭様のところに行きたいとおっしゃってました。私は王蘭様のところで待っています。紅花様を無事連れてきて下さいね」
「王蘭様のところに?」
「紅花様と春さんがお慕いしてる王蘭様にお会い出来るのですね!」
「楽しみです!」
女官達は喜ぶと早速明日の為の準備を始めた。
「では、皆様私は帰りますので頑張ってください」
「あっ!ありがとうございました!」
「春さんを見習って頑張ります」
つい、明日の用意に夢中になっていた女官達は慌てて春を見送りに出てきた。
春は少し不安になりながらも皆に頭を下げて自分の宮へと帰って行った。
久しぶりに王蘭様と凛々に会える事に春はいつの間にか早足となっていた。
自分でもこんなにも二人に会うのに心が踊るとは思っていなかった。
扉の前に立ち、深呼吸して春は扉を叩いた…
「はい、お待ちください」
少しして凛々の声が返ってきた。
「凛々、ただいま帰りました。春です」
「えっ!?春さん!ちょ!ちょっとお待ちください!」
凛々は春の声に驚くと慌てた感じで屋敷の奥にかけて行く足音が聞こえた。
「凛々?入りますよ」
春は様子のおかしな凛々に心配になって屋敷の扉を開けようとすると…
ガチャ!
門の#関木__かんぎ__#がかかっており中へ入る事が出来なかった。
春は凛々が慌てて忘れたのかと思い戻ってくるのを待っていた。
「王蘭様ー!大変です!」
凛々は春さんが帰ってきた事を王蘭様に急いで報告に向かった!
「え!?わーやっと帰ってきてくれたー」
王蘭は久しぶりに春さんのご飯が食べられると顔を輝かせた!
「急いで迎えましょ!」
王蘭が寝ていたベッドから飛び降りた。
「お待ちください!」
今にも門に駆け出しそうな王蘭を凛々が両手を出して止める。
「見てください…この部屋を…」
凛々は王蘭が寝ていたベッドと部屋を見渡す。
王蘭も一緒に見ると…
ベッドの上には食べかけのお菓子が乗っており、近くには読みかけの書物。
床には脱ぎっぱなしの服が落ちている。
「このままでは…春さんに怒られてしまいますよ!」
「はっ!凛々!急いで片付けるわよ!」
「はい!」
凛々と王蘭は急いでゴミを集めだした。
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