第58話朝
「それで、愛琳はどうする」
「本人がやったと認めている以上こちらから嘘だとは強く言えませんから…愛琳様の単独行動として処罰します」
「そうか、まぁやった事は事実だからな」
「紅花様の方は明日にでも新たな女官を用意出来ますが、今は確か王蘭様のところにいるんですよね?」
「ああ、確認した。あそこは問題ないだろう」
静の言葉に南明は顔をしかめる。
「王蘭様が問題ない?あんな騒ぎを起こしてるのに?ありえない」
静は口元を隠して仁陛下を見つめると、仁は言うなと首を振っていた。
「まぁ、妃としてはありえない行動してますが問題ない程度ですよ」
「そうですか…ならいいですけど、明日にも王蘭様に話を聞いてきます」
「私も行こう」
仁がそういうと南明はジロっと見つめる。
「やめておいた方がよろしいのでは?昨日の今日で王蘭様に会ったら気づかれますよ、今日も少し見られたのですよね?」
「うっ…そうだな。そうする、よく話を聞いてきてくれ」
「わかりました。仁陛下は気にせずに公務を進めておいてくださいませ。ああ、それとそんなに暇なら女官達を紅花様の宮に連れていくのでついでに紅花様から話を聞いてきてください」
「えっ」
南明はそういうと明日の分の仕事をどっさりと置いていった。
「んっん~~!」
王蘭は眩しい日差しに目を覚ました。
「王蘭様、おはようございます」
隣を見れば可愛い女の子がニコッと微笑み挨拶をする。
「あっ…紅花ちゃんおはよぉー」
昨夜一緒に寝た紅花ちゃんは自分のすぐ側で寝ていたようで大変顔が近い。
朝から可愛い顔で目覚めるなんて贅沢な気分。
「よく眠れた?」
私は紅花ちゃんの頭を撫でて聞いてみる。
「はい、後宮にきて一番よく眠れた夜でした」
「それならよかった、確かに顔色も良くなってるね」
「王蘭様の隣は凄く安心して眠れました・・・・・・また不安な時は一緒に寝てもよろしいのですか?」
「ええ、もちろんよ。でも本当に隣に寝たい人は違うんじゃない?」
ニヤニヤと笑うと朝から頬を赤らめていた。
私達が起きるとすぐに春さんと凛々がきて支度を手伝ってくれる。
「春さん達も昨日遅くまで喋ってたのに早くから偉いわね」
「私は春さんに起こしてもらっちゃいました・・・・・・」
凛々がガックリと肩を落とす。
「ごめんね、私が付き合わせちゃったから」
元気のない凛々を慰める。
「いえ!でもすっごく楽しい夜でした!今度は次の日がお休みの時にしてくださいね!」
「もちろん!でもお休みなんてあるの?」
私は二人が休んでいるのを見たことが無かった。
「ありますよ、月に一度お休みをいただけるんです!」
凛々が嬉しそうに答える。
「え!月に一度・・・・・・」
とんだブラック企業に私は言葉を失った。
「何をそんなに驚いているんですか?」
春さん達にはそれが当たり前なのか何も感じて無いようだ。
「春さん達、疲れたら言ってね。いつでも休んでいいからね」
「ありがとうございます。でも王蘭様のお世話は楽しいです!」
「凛々、王蘭様は特別ですよ・・・・・・他のお方に同じように接しないように!」
「は、はい!」
春さんに注意されて凛々は姿勢を正していた。
二人に支度を整えられると、今度はすぐに食事の用意がしてあった・・・・・・一体何時に起きてるんだか。
今度二人にはもっとじっくりと休んでもらった方がいいかもしれない。
私はそんな事を考えながら春さんの料理に手を伸ばす。
「美味しー!春さんこれも美味しいわ!」
「それはよかったです」
んー、春さんが休むとこの料理が食べられなくなるのか・・・・・・
私は真剣に春さんを休ませるべきか悩んでいた。
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