第57話ネズミの正体
「そのまま、天井に槍を突きまくって穴だらけにしちゃったんですよね」
「あ、穴だらけに?」
「はい、それはもう言葉道理。だから王蘭様の部屋は監視不可です」
「じゃあ直ちに直せばいいだろ!」
「それが風通しいいからそのままでいいって、あれってどこまで気がついてるんですかね」
静は興味深そうに笑っている。
「わからん…女の事は元々わからんが王蘭はもっとわからん」
仁は諦めた様に首を振った。
「しかし、陛下もようやく後宮に行けましたね。大臣達が跡継ぎもすぐかもしれないと騒いでいましたよ」
「なんで後宮に行ったくらいで・・・・・・」
「そりゃ今まで行く気もほとんど無かった陛下が自分から行って妃達に声をかければそう思うでしょ」
「声をかけるなんて、ただ注意しただけだろうが」
「それでも大臣達がからしたら大事件ですよ」
「しかし・・・・・・やはり嫌だな。しかもあんなに女共が集まっていて」
思い出したのか顔色が悪くなるとブルっと震えた。
「王蘭で慣れたと思っていたが…あからさまに化粧の濃いヤツや匂いがキツいと母を思い出す」
仁の顔があからさまに曇った。
「そう言えば一人の妃に足を掴まれそうになってましたね」
「お前、わかってて何もしなかったのか…」
「いや、王蘭様が動くのが見えたので様子を見てました。あの人陛下が女性を苦手なのわかってますよね」
仁はあの時の事を思い出す。
女性に囲まれ必死な形相で詰め寄られた時に体が竦み動けなくなった。
あそこで足でも掴まれていたら、蹴りあげていただろう。
「王蘭がなにを思って止めたのかは知らないが、まぁ助かった。紅花のほうも女官は用意出来たのか?」
「さあ?それは俺に役目じゃないんで」
静は知らないと肩をあげた。
「南明がいないところを見ると手配に走ってるんじゃないですか?全く陛下が後宮に行かないからこんな事が起きるんですよ」
「知るか!お互いの足を引っ張り合う女達になぜ会いに行かなきゃならんのだ!」
「そんな事言ってたら王蘭様にも危害が及びますよー今日きてたネズミは何処かの妃候補が送り出したみたいですからね」
「なんだと…どいつだ!」
「後をつけてみたら優麗様の宮に入るのを確認しました。まぁあのお茶会の主催も優麗様だったから王蘭様にぶち壊されて頭に来てるんじゃないですか?」
「なるほど…ということはあの、愛琳に指示を出していたのも…」
「私もそう思って愛琳様に話を聞いていますが、どうも口を割ってくれませんね」
「うわっ!いきなり出てくるな!」
仁陛下と静の会話に南明が割り込んだ。
「おつかれさまでーす」
静は気づいていたようで顔色を変えることなく南明に場所を譲る。
「口を割らないとはどういう事だ」
「それが…紅花様の女官達にあの様な態度を取るように言ったのは自分だと…しかし、あの怯え方です、一人でなにかできるようには思えませんね」
「優麗か…どんな顔だったかな?」
仁はは思い出そうと頭を叩く。
「陛下に近寄ってきた綺麗な人ですよ」
「綺麗?あの作られた顔がか?」
仁の言葉に南明と静はやれやれと呆れていた。
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