第12話牢屋
「では、こちらに…」
警備兵達は別に私を縄などて拘束する訳でもなく周りを囲んで何処かの建物へと連れてきた。
小さい部屋がいくつかあり外から鍵がかけられる部屋に連れてこられると入れと促される。
大人しく入口をくぐって中へと入ると…
ガッチャン!
冷たい鍵の閉まる音が響いた。
「沙汰が出るまで大人しくしていて下さい」
「わかったわ」
警備兵達が居なくなると部屋に備え付けてあったベッドに寝転ぶ。
牢屋だと思っていたが言うほど悪くない部屋だ。
確かにいつもの部屋の十分の一程の広さだが前世の1Kのアパートと同じくらいはあるのでどってことはない、むしろ動かなくてなんでも出来そうだった。
「意外と悪くないわね」
ベッドに寝転ぶと疲れていたのか眠気が襲ってくる…
少し…だけ…
そうは思いながらも疲れからくる眠気に逆らえず私はすぐに眠りについてしまった。
◆◆◆
「陛下…ご報告が…」
この国の皇帝である
「またか…少し前にも同じように誰か溺れなかったか?」
陛下は机に向かっていた仕事から顔をあげることなく答えた。
「それは…前のご報告の時は李家の王蘭様でございます。今回は呉家の鈴麗様ですので…」
なにか言いたそうに言葉を止めた。
「呉家か…それは顔を出さないとうるさいから見舞いにでもいけということか?」
不機嫌そうな冷たい声が報告に来た文官の背中をゾクッとさせる。
「い、いえ…私はただ報告に…それでは失礼致します」
文官は顔をあげることなくそそくさと部屋を逃げるように出ていった。
「フン…今更女の機嫌などどうでもいいわ」
吐き捨てるように言うと
「しかし陛下、やはり呉家は敵に回したくはありません。ここは大人しく鈴麗様の顔だけでも見に行ってくださいませ。彼女は一応正妃候補ですよ」
「正妃だが后妃だが知らんが後宮の女など興味無い。それなら仕事をしている方がましだ」
「そうですか…それならあと倍の量の仕事をお持ちしますね。その代わり私がお見舞いの品を届けてまいります」
「くっ!」
仁陛下はキッと睨みけるが側近の
「クソ!わかったよ!行けばいいんだろ」
「はい、お願いします」
南明が頷くが不満そうに顔を逸らすと
「だが長くは居ないからな!」
「はぁ…わかりましたよ」
南明は諦めたようにため息をついた。
「しかしずっとこのままでは居られませんよ、貴方様はこの国の王なのですから…大臣や家臣達からもいつになったら正妃を決めるのだと急かされていますからね」
「あんなところにいる女共など信用出来るか!」
仁陛下は持ってた筆を握りしめるとボキッと握り壊した。
その様子に南明はため息を着くしか無かった。
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