第45話ムカつく
私は真っ直ぐに紅花様を突き飛ばした女性の元に向かって歩いた!
歩いたと言うよりは早足かもしれないが今は関係ない、そのままずんずんと向かって行くと向こうも私の存在に気がついた。
「あら、あそこにも影の薄い方が…」
クスクスと顔を隠して笑っている。
「え?あ、あの方止まる気あります?」
私の勢いに今になり慌てだした。
まさか私が立ち止まる気など無いと分からないのだろう。
「ちょ、ちょっと!止まりなさい!」
私は構わずにそのまま突っ込んだ!
「きゃ!」
女性はドンッ!と尻もちを付いた。
「愛琳様大丈夫ですか!」
倒れた女性に女官が駆け寄る。
「無礼な!愛琳様に謝りなさい!」
「あら、ごめんなさい。小さくて見えませんでした。そんな所に座ってるから」
「なっ! 座ってなどいませんわ!」
「へぇ、今流行りの座り方かと思いましたー」
私は愛琳が言った言葉をそのまま返した。
「そ、そんなわけないでしょう!」
女官が大声を出すと
「そんなわけあるわよね?だってあなたさっき紅花様のの事見えなくて足を踏んだんだもの…私だってあなたが小さすぎて見えずに突き飛ばしただけよ…それにちゃんと謝ったわ」
「謝ったなど!あんなの謝罪になりません!」
「あら、ならあなたも紅花様にちゃんと謝って?そしたら私も同じように謝るわ」
「くっ!もういいわ!行くわよ!」
愛琳は顔を真っ赤にして怒ると女官に立たせてもらい優麗様の元に向かった。
「あ、あの…」
近くで見ていた紅花様が声をかけてくる。
「ああ、大丈夫?本当に嫌な女ね。あなたも気にする事無いわよ」
紅花様の汚れた服をパタパタと叩いてあげた。
すると遅れて紅花様の女官が現れる。
「大丈夫ですか?ああ汚れてしまって…」
服をみて顔を顰めた。
「その服洗うのが大変なんですよね…しかもいくつも替えがある訳じゃないのに…」
面倒くさそうに服を洗う心配をする。
「えっと…王蘭様。この度は紅花様を助けていただきありがとうございます。もう私達がお世話をしますのでお戻りください」
まるで私を退かせようとして紅花様の手を取った。
「紅花様行きましょう」
労る…と言うよりは引きずるように手を引く。
「あ、あの…お礼を…」
紅花様が何か言おうとこちらを見るが言わせる気はないようだ。
私は思わず紅花様の腕を掴む女官の腕をさらに掴んだ。
「な、何か?」
女官は怪訝な顔をしながら掴まれた自分の腕と私を見つめる。
「紅花様と話があるの…その手を話してくださる」
極めて冷静に穏やかに話した。
「いえ、汚れたままでは紅花様も気持ちが悪いと思いますからこのまま帰らせていただきます」
紅花様の話を聞くわけでもなく勝手に決めつけた。
ブチッ!
「あらなんの音かしら?」
女官はなんの音かとキョロキョロと周りをうかがう。
「私の堪忍袋の緒が切れる音だよ!その手を離しな!」
私は力いっぱい女官の腕を握りつぶした!
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