第32話交換
「なんでですか?失礼ですが雲垓様のその様子…鈴麗様の事を嫌いだとは思えません。お互い好きなのでは?」
「私は鈴麗様とは彼女が生まれた時から知っています。鈴麗様のお屋敷で働いていたのが母で私はそこで鈴麗様と育ちました…しかし立場は主の娘とそれに雇われている女官の息子」
「そんな立場なんて聞いていません!あなたの気持ちは?鈴麗様を女性として見れないのですか?」
私の問いに雲垓様は何も言わない…
「それに…鈴麗様はもう後宮の后妃候補…という事は陛下のものです…」
仕方が無いんだと自分に言い聞かせるようにいって拳を握りしめている。
「ああ!じれったいな!あんた男でしょ!?しかも武人!あんたの本当の気持ちはどうなのよ!好きなの嫌いなの!?」
大の男がグジグジと!
王蘭は我慢出来ずに雲垓の胸ぐらを掴んだ!
「好き…です。本当なら待っていて欲しかった。でも鈴麗様の父親はそれを昔からよく思っていませんでした、だからこの様に後宮に…」
「雲垓様の気持ちはよくわかりました」
私は掴んでいた胸元から手を離してポンポンと正した。
「気持ちがわかったとして…どうしようもありません…」
「それはやってみないと…」
私は雲垓様に笑いかけた。
「すみません!話は終わりました!」
私は南明様に声をかけた。
「長かったですね…それになんだか途中揉めてるようにも感じましたが…」
「いえ、そんな事ありませんわ。雲垓様は紳士的で素敵な方でした」
「それで…と言っても話の内容は教えて下さらないのですよね?」
「それは…どうでしょう?」
私は意味ありげに笑った。
「とりあえずは最初の目的の文字から答えますね。あそこに書いた言葉は〝明日お会いしましょう〟です」
「明日…という事は今日と言うことですね…私達はその言葉通りここに来たと…」
「まぁそれは様子を見に来るとは思っていましたので、こんなに早く来るとは思いませんでしたけど…」
クスクスと笑うと南明様が眉をひそめた。
「明日お会いしましょう…一体何処の文字でしょうか?この国は愚か近くの隣国でも見ない文字かと思いますが…」
「ふふ…それを教えて欲しいならまた交換条件があります」
「なんですか?今度はここから出せとでも?」
南明様が呆れると…
「いえ、それは最悪しなくてもいいです…その代わり…鈴麗様をこの後宮から出して頂きたいです」
「鈴麗様を?ここから追い出せと?」
「いえ、追い出すのは宜しくないですね…もっと穏便に鈴麗様の立場に傷がつかないようにして頂きたいです」
「何故だ…あの女が邪魔になったのか…」
今まで黙っていた仁様が不機嫌そうに口を挟んできた。
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