第69話久しぶり
「きゃあ!」
王蘭は春さんの手料理を久しぶりに食べられると興奮して立ち上がると机に足がひっかかり、お茶をこぼしてしまった。
「王蘭様!大丈夫ですか!?」
「大変!服にお茶が!」
お茶は手前に倒れて王蘭様の着物を汚してしまった。
「大丈夫、大丈夫!」
しかし幸いな事に生地の部分にだけお茶がかかり王蘭様に怪我は無いようで笑って手を振っている。
ほっとする春さん達は机をすぐに片付けだした。
「怪我が無くてよかったです」
凛々が机を片付けると、春さんは王蘭様の着替えを用意しようと隣の部屋への扉に手をかけた。
「「あっ!」」
その様子に王蘭と凛々は声をあげる!
「待って!」
慌てて春さんを止めようとするが…時すでに遅し。
部屋を開けた春さんはその惨状に立ち尽くした。
「こ、これは…一体何が?盗賊でも入ったのですか!」
そこには壊れた壺や家具に脱ぎっぱなしの着物が散乱していた。
王蘭達は突然帰ってきた春に驚き、慌ててとりあえずこの部屋に散らかっていた物を詰め込んでいたのだ。
「あー見つかった」
王蘭はしまったとおでこに手を当てる。
「凛々、これはどういう事でしょうか?」
春さんがわなわなと震えながらそっと声をかける。
「も、申し訳ごさいません!頑張って片付けたのですが一人では手が足りなくて…」
凛々は頭を地面につきそうなほど下にさげた。
「それにしても…こんなに汚れるでしょうか…」
春はじっと王蘭様を見つめる。
「あー…えっと私も手伝おうとしたんだけど…なんかやらない方が凛々の為になるみたいで…」
王蘭は気まづそうに視線をそらした。
「はぁ…凛々、お茶は後にしてとりあえず部屋を片付けましょうか」
「はい、すみません」
凛々がシュンと肩を落とす。
「凛々は良くやっていたわ!悪いのは私…なのよね。昔っから片付けが苦手で…」
王蘭はごめんねと凛々を慰める。
「昔っから?王蘭様は片付けなどした事ありませんよね?」
春さんが訝しげに王蘭を見ていた。
「あ~子供の時からって事で…」
笑いながら何とか誤魔化した。
「まぁあの天井の有様を見れば何となくわかりますが…では王蘭様は大人しく座って待ってて下さいませ、明日紅花様達が来るのにこんな部屋にお通しできませんから」
「えっ!紅花様が来るの!?」
王蘭は嬉しそうに春に聞き返す。
「はい、何かお話があるようですよ。女官達も王蘭様にお会いするのを楽しみにしていたので王蘭様…しっかりとお願いしますね!」
「は、はい。でもなんで女官達が私に会いたがるのかしら?」
王蘭はわけがわからずに首を傾げていた。
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