第23話協力
「鈴麗…私に出来ることがあればお手伝い致します!その恋文…私に預けてくれませんか?」
「でも…後宮に入った女性からの文なんて彼には迷惑では…」
「それでも思いを伝えて見れば鈴麗様もスッキリするのでは?どうせ死ぬなら足掻いてからでもいいのでは?」
「王蘭様…あなた、意外と過激なのね…もっとあなたは大人しい方かと思ってました」
「よく言われます」
王蘭はニカッと笑った。
「そうね…どうせ死ぬなら…」
鈴麗様の瞳に少し力が戻ってきた。
鈴麗様から文の場所を聞くと墨を用意して手渡す…彼女は何度も何度も今の思いを噛み締めるように筆を止めながら彼への思いを綴った。
そしてしっかりと封を閉じると…
「ではこれをお願い出来ますか?」
「必ず…どんな手を使ってでも…」
私はそれを受け取ると…
「すみません…素敵な手紙を少しだけ折ってもよろしいでしょうか?」
「折る?」
鈴麗様が何故と首を傾げる。
「あの女官長にもし見つかっても言いようです!」
私は鈴麗様に向かって不躾ながらウインクした。
その後、南明様に説明する口裏合わせの話し合いを済ませて…
トントン…
扉を叩くとすぐに南明様が入ってきた。
「話は終わりましたか?」
「はい、ありがとうございます。やはり私が思っていた事は間違いで鈴麗様は足を踏み外した事がわかりました」
南明様が部屋に入ると今度は鈴麗様を見つめる。
「鈴麗様…今の王蘭様の言うことは間違い無いですか?」
「はい…私王蘭様があそこで事故に合ったのを聞いてどのような状況だったのか詳しく知りたくて…彼女に聞いてるうちに身を乗り出してしまいそのまま…そんな私を王蘭様は勇敢にも助けて下さいました。彼女を牢に入れるなど即刻止めて頂きたいです」
「わかりました…では鈴麗様の件も#事故__・__#と言うことでよろしくですか?」
「はい、もう二度とあそこには近づきませんわ」
鈴麗の言葉に南明は彼女をじっと見つめると…
「まぁいいでしょう。我々としては怪我や亡くなる方を極力減らしたいだけなので…次は気をつけて下さいませ」
「はい」
「え?それで調査は終わりですか?」
話を聞いていた女官長が驚いで南明様に声をかけた。
「はい、当事者の両名が何もなかったと言っている以上どうする事も出来ないのでは?」
「しかし…もしかしたら王蘭様に脅されて…口裏を…」
「#杏__シン__#!!いい加減にしなさい!彼女はそんな事なさいません!いくらなんでも失礼です、謝罪なさい…」
鈴麗様が女官長を睨みつけた。
「そうですね…王蘭様は今や罪人ではありません。仮にも後宮の后候補、これ以上は不敬に当たりますよ」
南明様はなんだか面白がるように笑いながら言っている。
「申し訳…ございません…」
女官長は顔色悪く頭を下げた。
見えない顔はどんな表情かわからないが…鈴麗様の顔を立てるためにここは穏便に…
「慣れてますから大丈夫です。では誤解も解けたようなので私達はコレで…鈴麗様もまだ本調子ではありませんしそろそろ…」
南明様に目線を送るとこくりと頷き頷く。
「では…鈴麗様。お体を大事になさってくださいませ…陛下の子を産む大事なお体ですからね…」
南明の何気ない言葉に鈴麗様の顔色が悪くなった。
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