第24話若者言葉

「わぁ…南明様無いです。本当にKY…」


私は眉を眉間に寄せて南明様を見つめる。


「けーわ…い?」


南明様が聞きなれない言葉にポカンと口を開けている。


「鈴麗様は今は体調を整える事が先決です。それを…これだから男は…こんな状況でそん事が言えるなんて〝マジあたおか〟」


「な、なんでしょうか…少し難解な言葉が混じっていて意味がよく…しかし貶される感がします」


「そんな事ないですよ」


私はニコッと笑いかけた。


「本当ですか…」


南明様にじっと見られるが嘘なら得意だ、顔色をかけずに目線を逸らさずにじっと笑って見せた。


「まぁいいでしょう…確かに私も余計な事だったかも知れません。とりあえず今は体を治すことを優先してください」


「はい、ありがとうございます…」


「では…」


今度こそと南明様が部屋を出ていこうとすると…


「申し訳ありません…最後に何か持ち出してないかだけ確認を…最近宝石類を持ち出す者が多くて、部屋を出る際に確認をさせて頂いております」


「杏!」


鈴麗様が止めさせようと声をかける。


「いくら鈴麗様の仰ることでもこれは譲れません…それとも何か王蘭様にお渡しした物でもあるのですか?」


「そ、そんな事は…」


鈴麗様が顔を背ける。


「私は構いませんよ。何も取ってませんから」


私は調べて見ろとばかりに手を広げた。


杏女官長は少したじろぐがすぐに切り替える。


「それではこちらに…」


他の人に見えないように衝立で囲まれた所に連れていかれると体の隅々まで撫で回すように触られて確認される。


ガサッ…


胸元辺りを探られている時に杏女官長の顔がピクっと動いた。


「これは…?」


#それ__・__#を取り出すと目の前に突き立てる。


「ああ、それは鈴麗様へのお見舞いの品に持ってきた折り紙の鶴ですわ、余ったものを持っていただけです」


「おりがみ…つる?」


「ええ!こちらに頂いた物よ!確認して見なさい」


衝立の向こうから鈴麗様の声がかかる。


私は身だしなみを整えて貰うと女官長と表に出てきた。


女官長の手にはあの折り鶴が握られている。


「ほら、こんなにも素敵な飾りを頂いたのよ」


千羽鶴を鈴麗様が指さすと女官長は怪しみながらも近づいて確認する。


「それは私も見ました…興味深いもので何枚か折らせて頂きましたよ」


南明様も自分の折り鶴が入っている事を暗に知らせる。


「それは…大変素晴らしい物をありがとうございます…確かにここに飾られてい物と同じ様ですね…」


綺麗に折られた鶴を見て女官長はそっとそれを返してきた。


「決まりとはいえ大変失礼致しました。こちらはお返し致します」


「いいのよ、鈴麗様があんな事故に合えばピリピリしてしまいますよね…でもやりすぎては鈴麗様が迷惑しますから程々に…」


クスッと笑って鶴を受け取った。


「……申し訳ございません」


女官長は顔をあげることなく下を見つめたまま私達を送り出した。




「クックック…あの悔しそうな顔を見ました」


私は外に出るなり気分よく南明様に声をかける。


「あんな嫌味言って…目の敵にされても知りませんよ」


「もうなってますから大丈夫です。あんなヒステリックばばあはおそるるに足らず!」


「ヒス……先程から思いましたが王蘭様のその言葉はどこの国の言葉でしょうか?」


「あーこれは私が作った言葉だと思って気にしないで下さい」


「作った…では今のヒスナンタラはどういう意味でしょうか?」


「うーん…まぁ怒りやすく喚き散らす女…ってところでしょうか」


「王蘭様…結構言いますね」


「でもその通りでしょ?」


「確かに…」


南明様もあの女官長を思い出しているのか口の端がくっと上がった。

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