第82話すれ違い

「お前はまた、なんかしでかしたらしいな?」


仁に会うなり顔を顰めながらそんな事を言われた。


「え?私なんかしたかしら?」


いきなりそんな事を言われ縄跳びを手に持ち考える。


最近は周りの妃候補達とも上手くやっていた。


この縄跳びを通じて運動仲間もといダイエット仲間が増えていた。


最初に縄跳びを教えた妃候補の方が見事に痩せてそこからあれよあれよという間に噂が広まり、王蘭の元にこっそりと聞きに来る妃が増えたのだ。


一人一人に教えるのは面倒だと、紅花様と凛々としていた朝縄跳びにその人達も呼ぶ事にするとみるみる人が増えていた。


「私、今は皆さんと上手くやっていて問題ないと思いますけど…」


「その行動が問題だ…全く朝から何を集まっているのかと問い合わせがたくさん来ている!南明も眉間に皺を寄せて今にも怒りだしそうだぞ」


「そ、それは…すみませんでした。ならもったいないけど朝の運動は中止しますね」


残念に思うが確かに規模が大きくなりどうしようかと思っていたからちょうどいいかもしれない。


すると仁が手に持つ縄をじっと見つめる。


「それで、どんな事をして皆集まっていたんだ?」


「これですか?ただ飛ぶだけですよ、こうやって」


王蘭は目の前で飛んでみせる。


「なんか面白そうだな…」


「飛んでみます?」


王蘭は縄を仁に差し出した。


仁はそれを受け取り飛んでみる。


「これだけか?」


上手く飛んでいるが、ただ飛ぶだけに何が面白いのかと首を傾げた。


「ふふ、妃さん達には普通の飛び方しか教えてませんが…こんなのもあるんですよ」


王蘭は再び縄を受け取ると二重跳びや交差跳びをしてみせる。


「おお!それはどうやっているんだ!」


仁は興味津々に聞いてくるので手を交差して飛び方を教える。


「あとは一緒に飛んだり、大縄なんて言うのも楽しいんですよね」


「一緒に飛ぶ?どうやるんだ?」


「そうですね、仁 私のそばに来れますか?」


仁が近づくがまだ距離がある、私が一歩仁に寄った。


仁は驚くが王蘭は構わずに続けた。


「私が縄を回すので一緒に飛んでください。行きますよ!」


縄を回して飛ぶタイミングで声をかけた。


「はい!飛んで!」


「あ、ああ」


仁は声に合わせて両足をあげる。


「このまま飛んでて下さい」


王蘭は地面を見ながら足を合わせた。


上手く数回飛べると顔をあげた。


「ほら、とべたでしょ…」


上を見ると下を見ていた仁の顔が間近にあった。


二人、顔を見合わせて固まると縄が足に引っかかった。


「キャッ」


「危ない!」


王蘭がバランスを崩して後ろに倒れそうになるのを仁が慌てて受け止める。


しかし踏ん切りが効かずにそのまま二人地面に倒れ込んだ。

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