第61話勘違い
「それで、南明様はなんの用でここに?」
「ああ、すみません。優麗様が催したお茶会での騒動の事でお聞きしたくて」
「ああ、紅花様の事ですね」
王蘭の顔がスっと真剣なものに変わった。
「王蘭様から見た率直な意見をよろしくお願い致します」
「ええ、まずは愛琳様からの紅花様への嫌がらせね。あからさまに紅花様を見下していたわ、でも何よりも許せなかったのは紅花様へ仕えるべき女官がその様子に助ける訳でもなくて一緒に笑ってたこと」
「はい、女官達の処分はすぐにでも・・・・・・」
「あの人達はどうなるの?」
王蘭は気になって南明に問立てる。
「彼女らは出稼ぎや花嫁修業も兼ねて女官として王宮に働きに来ていたのです。それを賃金は没収して家へと帰しました」
「え?それだけ?」
意外と軽い処分に眉をひそめる。
「王宮関連の仕事は二度と出来ません。言っときますが王宮や後宮で働く事は大変名誉な事なのですよ。町で働くよりも賃金も高いですからね、それが王宮から追い出されたとなれば悪い噂もたちますし、町で仕事を見つけるのも難しいでしょうね」
「あっ・・・・・・なるほどね」
王蘭は南明様の悪そうな笑顔に納得する。
彼女達はこれから苦労して生きていくことになるようだ。
「でも、そんな事になるとわかっていたのになんであんなことしたのかしら」
「女官達は紅花様に首になっても愛琳様が自分のところに置いてくれると言われていたようです」
「愛琳様の?」
王蘭は首を傾げた。
「はい、しかし愛琳様もあなたによってコテンパンにされたので女官達も焦ったようですね」
「んー、それって愛琳様の単独なの?」
「というのは?」
「愛琳様って確かに性格悪そうだけどそこまで悪人って感じしなかったんですよね、なんか取り巻きで威張ってる感じがピッタリで・・・・・・」
「私もそう思って愛琳様を問い詰めましたが自分一人の行動だと言っております」
「それ、信じるんですか?」
「まさか。でも彼女が罪を認めてしまってる以上何も出来ません」
王蘭は南明様を睨みつけた。
「頼りないわね!どう見ても優麗様が怪しかったじゃない!」
「陛下もそのように仰っておりましたが・・・・・・愛琳様を含め女官達の誰一人として優麗様の名前は出ておりません」
「あー!ヤダヤダ。これだから後宮の女は!」
優麗様の笑顔を思い出してムカムカとしてきた。
「あなたも一応その後宮の女の一人ですけどね。まぁとりあえず愛琳様はもう少し取り調べが続く予定です」
「そう、愛琳様の事だけど・・・・・・そんなに悪い子じゃないと思うわ。ちゃんと紅花様に謝れたしね」
「はい、こちらも別に拷問をしてる訳ではありませんので」
南明がニコッと微笑む。
王蘭はその事だけにはほっとした。
「それで紅花様の方は?」
「ああ、そちらは陛下・・・・・・ではなくで他の者が女官を連れていきながら話を聞きに行ってます」
「そう、ならよかった」
王蘭はほっとする。
向こうには春さんがついているし大丈夫だろう。
そう思うと喉がかわいてきた。
「南明様、ちょっと待っていてくださいね!」
王蘭は南明を待たせて厨房に向かう、しばらくしてけたたましい音が響くと、凛々の悲鳴が屋敷中に轟いた。
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