第62話その後

「おっほん、では話をしてもいいですか?」


「あっ、はい、どうぞ」


咳払いをすると王蘭は姿勢を正して座り直した。


「紅花様の事ですか、女官を手配して先程宮に向かわせました」


王蘭は頷くと春さんの事を説明する。


「昨日うかがってたので紅花様も朝方宮に戻られましたよ。春さんがしばらくお付になりますが問題ないですか?」


「はい、ありがたい限りです。また何かあれば報告してください」


王蘭はにっこりと笑う。


「もちろん、春さんに任せておけば大丈夫ですよ。でも早めに帰ってきて欲しいものです」


王蘭の悩ましげな顔に周りを伺い納得する。


あの女官長がいなかったら王蘭の宮が先に崩壊しそうだった。


「そうですね・・・・・・わかります」


南明が苦笑いすると王蘭が同意するように頷いた。


「ですよね、春さんのご飯が何日か食べられないなんて耐えられませんから」


「あっ・・・・・・」


そっちか・・・・・・この人ならしばらくはほっといても大丈夫そうだ。


南明は何も言わずににっこりと笑った。


「それで、愛琳様の方はどうですか?」


「彼女は全て自分のせいだと自供しました。紅花様への女官達の行為は自分が指示したと」


「それ、南明様信じてないですよね」


王蘭はジロっと南明を睨みつける。


「もちろんそう思っていますが本人がそう言ってる以上どうにも出来ません」


「はぁ、なんか最後の優麗様の笑顔が嫌だったのよね。こういう事か・・・・・・」


王蘭はため息を付く。


「王蘭様がみたあの時の状況を聞きたいのですが、よろしいですか?」


「んーとはいってもあの優麗様が何かしたのを見てはいませんから、でも多分あの人の指示ですよね?だって愛琳様あの人の取り巻きでしょ?」


「そうですが、どうも怯えていますし優麗様の事を言うより自分で罪を被った方がいいと判断したようですね」


「あの人なんなんですか?」


「優麗様この後宮でもっとも皇后に近い方です。父親も大臣でそれなりの発言力を持った方です」


はぁーなるほどだからあんな強気な態度なわけだ。


「愛琳様も父親の関係で優麗様には何も言えないのではないでしょうか?」


「はーそれってもう皇帝陛下の相手が決まってるって事ですか?」


「いえ、それはどうでしょう。陛下が後宮に自ら行ったのはあの時だけですから」


「え!?そうなんですか?」


王蘭はあの時の陛下の様子を思い出す。


「なんか・・・・・・皇帝陛下を見てて思ったんですよね」


言いにくそうにする王蘭に南明が先を促す。


「ここだけにしておきますからどうぞ」


聞きたいのかニコニコと笑っていた。


「あの人、女の人苦手じゃありません?」


王蘭の確信ある様子に南明はどう答えるのか正解か考えていた。

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