第101話興味

黄燕は驚き目を見開いて王蘭を見つめていた。


「こんな女がいたのか…興味深い」


黄燕は楽しそうに、にやりと笑う。


「女、名前はなんと言う」


「あなたに教える義理は無いわ」


王蘭はきっと睨みつけて構えた。


「その勝気な態度をこれから躾ていくのも楽しそうだ」


笑う黄燕に王蘭は眉を顰める。


「何言ってるの?」


意味がわからずに聞き返す。


「女、俺のものになれ。それしたらもうこの店には手出しはしない」


「ダメよ!」


すると女将さんが後ろから叫んだ。


「うるさいぞ、あんたは黙ってな。これは俺とこの娘の話なんだ。さぁどうする?」


「なるわけないでしょ!」


王蘭はすぐに拒否するが黄燕はまだ笑っていた。


「なら、この店がどうなってもいいのか?俺ならこんな店潰すのもわけないぞ」


黄燕の言葉に女将さんの顔色が青くなる。


女将さんの反応にそれが可能なのだと感じ取った。


「どこまでも卑怯な男ね!そんな男に屈するわけ無いでしょ!」


「ならどうする?」


「あんたを倒せばいいんじゃない?女にやられた腹いせに店を潰したなんて恥ずかしくてできやしないでしょ」


ふんっ!と王蘭が鼻で笑うと黄燕の眉間がピクピクと脈打つ。


「もし、俺に膝をつかせたら。店に手を出す事を考えないでもない」


「言ったわね…」


王蘭は黄燕の体をじっと見つめる。


体が大きく力がありそうだ、捕まったら抵抗は敵わなそうだった。


なら速さで対抗する。


王蘭は足を大きく広げてすぐに動き出せるようにした。


「あんな大口叩いたのに来ないのか?なら俺から行くぞ」


黄燕は一歩踏み出したと思ったらあっという間に王蘭との距離を詰める。


「は、早い」


王蘭はサッと避けるが帯の先端を掴まれる。


「くっ!」


サッと帯を取って引っ張ると短く結び直した。


「惜しい、あと一歩だったな」


黄燕は余裕そうに手をヒラヒラと動かした。


「なら…」


王蘭は体勢を低くして黄燕の足元を狙う。


図体がでかいから足元を掬えば倒れると考えた。


「おっと!」


黄燕の足を思いっきり蹴るがビクともしない、それどころが体勢を低くしたので立ち上がるのに手間どいその隙に腕を掴まれた。


「捕まえたぞ」


「痛っ!」


黄燕に掴まれた腕が痛んだ。


必死に払い避けようと暴れるがビクともしない。


「ははは!やはり力は弱いな」


黄燕がクイッと捻るとさらに痛みが 走った。


王蘭はグッと堪えて睨みつける。


「勝負あったな。おい!この女を屋敷に連れていけ!」


「は、はい!」


付き添いの従者らしき男達が王蘭を後ろから捕まえた。


「女にしては結構力が強いから数人で連れて行け」


黄燕の言葉に従者達は逃がすまいと王蘭を後ろで縄で縛った。


完全に身動きが封じられて王蘭は愕然とする。


「お、お待ちください!」


すると女将さんが黄燕の前に飛び出して土下座した。

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