第29話予定

「それと陛下、これも…」


南明はもう一枚の紙を見せた。


仁はその紙を眺めると…


「残念…とその下にはなんと書いてあるんだ?」


「わかりません」


「わからない?南明にも読めないと言うのか?」


「はい、見たことも無い文字です…もしかしたら意味が無いただの絵かも知れませんが…」


「それにしては同じ形があるし、大きさも揃っている。文字と考えるのが妥当な気がするが…」


仁はそれを手に取ってじっと眺めると…後ろにいた雲垓にも見せた。


「すみません、私は学が無いものでさっぱりです」


「雲垓にだけ読めるかと思ったがそういう事でも無いのか」


南明は当てが外れた。


「やはり本人に会って確かめるのが一番のようですね」


「いや待て!もう少し考えてみる…逆さ…いや横から?」


陛下は紙を縦横斜めとクルクルと回す。


ほとんどの事は南明がやってみたが好きにさせていた。


「では明日、雲垓は私と来てくださいますか?」


「くそっ!!」


陛下は手紙を机に叩きつけた。


「私も…行く」


仁陛下が珍しく後宮に行くと言う。


「別に陛下は今回は来なくても大丈夫ですが…」


「この文字が気になる…それにコレを見せてやる」


その手には綺麗に折られた鶴が握られていた。


後宮に行ってくれるのいいが理由が色気がない、まだまだ前途多難な様子に頭が痛くなってきた。




次の日になり、黄の交代の時間を変わってもらい仁陛下と、南明、雲垓で王蘭様の入っている牢屋へと向かった。


「陛下…なぜまた文官の格好をしているのですか?」


南明は陛下の姿に眉を顰めた。


「王蘭は私の正体に気がついていない様なんだ、陛下とバレると面倒くさいし私は今からただの文官だからよろしくな」


「はいはい…」


陛下がよく文官の格好をして外に出ることもあったので南明は気にせずに付き合うことにした。



「交代の時間です」


警備兵に声をかけると驚いた顔でこちらを見つめてポッカーンと口を開けている。


そりゃ、黄が来ると思っているところに私や陛下に雲垓まで来たら驚くだろう。


私は口に手を当てて黙るように合図すると警備兵を手招きする。


「少し中で話がありますのでこの事は内密に…中の兵にも何も伝えずに連れてきて下さい」


コクコク!


警備兵は黙ったまま勢いよく頷く。


外を警備していた兵士は牢屋の中を警備する兵士を呼んで来ると同じように驚いた顔を見せた。


「そんなに私達が来ることが珍しいですか?」


少し驚きすぎてはと呆れると…


「いえ…その…中におります王蘭様が…」


兵士は言いにくそうに言葉を濁す。


「なんですか?」


気になって先を促した。


「南明様と雲垓様がきっと来るから真面目に警備してた方がいいと仰って…信じていませんでしたがまさか陛下まで…」


「俺の事は言ってなかったのか?」


「はい、陛下の事はなんとも…」


陛下は面白くなさそうに眉を上げる。


「とりあえず中に入るぞ」


「そうですね、あなた達は外に…中に誰も入らないように見張っていて下さい」


「「は、はい!」」


聞くことが増えてしまった…


南明は何から聞くべきかと、考えながら階段を下りていった。

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