第40話遊び

王蘭は鈴麗様とのお茶会を楽しみにしながら迎える準備を進めていた。


鈴麗様との予定を合わせて南明様から三日後に行うようにと言われていた。


春さん達が優秀で用意も早々に終わりまた暇にしていると…


「王蘭、頼まれていたものを持ってきたぞ」


また来た…


「仁…私よりも暇ってどういう事よ」


仁の姿にため息をつく。


「お前が言ったものを用意出来たから持ってきたんだろ!ほら、これをどうするんだ」


仁の手には板で作った羽子板と鳥の羽根に重りを付けた物が握られている。


「本当に用意したんだ…」


でも久しぶりに見る遊具に私も少しテンションが上がる!


羽子板を一つ受け取ると…


「コレでお互いに羽根を打ち合うんですよ!落としたら負けで罰があります」


「罰だと!?」


「まぁ簡単な物ですから大丈夫ですよぉ~それとも女の私に負けるとでも?」


ニヤニヤと笑うと仁は腕まくりをした。

そうこなくっちゃ!


少し動ける人気の無い!開けた場所に移動すると二人の間に線を引く。


「いいですか、こっちが私の陣地でそちらが仁の陣地です。自分の陣地に羽根が落ちたら負けよ」


「わかった」


「じゃあ行きますよ~」


私は羽根を持って羽子板を振った!


コーン!


正月に聞く音が鳴り響く!


これこれ!この音がすると正月って感じ!


本当はバトミントンとかの方が良かったけどあのラケットを作れるとは思わなかったし、自分は羽子板の方が好きだった。


久しぶり…と言っていいのかわからないが上手く飛んだ!


ちゃんと仁の陣地に向かって羽根が飛ぶ。


「これを打ち返すんだな!」


仁が構えると羽子板を振り回す!


カーン!


高い音が響いた!


「打ち返すとはなかなか!だが甘い!」


私は打ち返そうとして羽根の下に素早く移動するが…


「あっ!」


服が邪魔で上手く動けない!


「クソっ!」


負けるのが嫌で服が汚れるのも構わずに走った!


「あいつ…女のクセにクソって言ったぞ…」


仁が私の口の悪さに唖然としている。


「隙あり!」


その隙に仁の左横目掛けて羽根を飛ばした!


「あっ!しまった!」


バックは打ちにくいんだよね。


仁は反応が遅れて羽根を取りこぼした。


「やった!はーい、仁は罰ゲーム!」


「くっ…仕方ない…約束だからな…」


すると仁がサッと右腕を上げた。


「ん?何それ?」


なんか誰かに合図を送るような仕草をする。


「なんでもない…さぁこい!どんな罰だ!」


仁はどんな事でも受け入れると言った様子で立っている。


「ふふ、羽子板の罰と言ったらコレだよね…」


私はちょっと待っててねとそれを用意しに向かった。

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