第14話地下牢

「はぁ…いつまでここに居ればいいのかしら…まぁ言うほど酷くない扱いだからいいけど」


王蘭はベッドに寝転がって大口で欠伸を決め込んだ。


王蘭が幽閉された場所はどこかの地下らしい、入口が鉄格子になってる以外は普通の十畳位はある部屋でベッドと机に椅子、トイレも完備している。


時折女官が水と食べ物を運んでくれるので出れない以外は快適だった。


一生食べさせてくれるならここでもいいけど…運動出来ないと太っちゃうかなぁ~


広すぎる部屋よりも落ち着く部屋に慣れつつあった。


カツカツ…


リラックスしながらベッドに寝転がっていると誰かが階段を降りてくる足音がする。


食事はさっき貰ったから…今度は本でも持ってきてくれたのかしら…


王蘭は一応ベッドから起き上がって椅子に腰掛ける。


「失礼します…」


するといつもとは違う顔ぶれに少し身構えた。


そこにあらわれたのはメガネをかけた美しい顔の男性と…それよりもさらに美しい顔なのに眉間に皺を寄せた少し機嫌の悪そうな男だった。


手前のメガネの男がニコッと笑って話しかけてくる。


「私文官の南明と申します…少し鈴麗様との件でお話をお聞きしたいのですが」


「鈴麗様の?鈴麗様は無事でしたか?」


唯一の気がかりだった鈴麗様のことを言われて思わず椅子から立ち上がった!

いくら女官に話しかけても誰も教えてくれなかったのだ。


「はい、先程意識を取り戻しまして…しかし気を失った前後の記憶が曖昧なようで…」


南明は綺麗な眉を下げた。


「そうですか…」


よかった…


王蘭はほっと息を吐くと椅子に腰掛ける。


飛び込んでまで助けた相手があのまま何かあっては目覚めも悪い。


助かったと聞いて心底ほっとした。


しかし…


王蘭はなんと言おうかと眉をひそめる。


鈴麗様は自分から身を投げた…それは間違いないがそれを言っていいものか悩んだ。


「先に…鈴麗様とお話ってできませんか?」


「はっ?」


「いえ、ちょっと鈴麗様に聞きたいことがありまして…それを聞ければなんでもお話します」


「そうですか…」


南明は驚いた顔をして後ろの男性を見つめた。


後ろの男は不機嫌そうに部屋にも入ってこない、鉄格子の向こう側で様子を伺っているだけだった。


「何故だ、その理由を今話せ」


口を少し隠しながらその男が声をかけた。


はっ?馬鹿なのか?それを言ったら鈴麗様に会う理由だって無くなるだろうが!?


王蘭は鉄格子の向こう側の男を睨みつけた。


「なんだ…その顔は…」


女に睨まれて男は少したじろいだ。


ふんっ!


見た目がいいからっていい気になってる優男が一番ムカつく。


王蘭は男を無視してメガネの男に話しかけた。

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