11節 アンドロイドの少女と、最高の狙撃と、悲しい結末
はい、私です。自分の意思でアホ毛ビームが撃てるようになったエルシアです。……まぁ実戦で使えるかと言われると、そんな事は無いんですけどね。
私は今、アンドロイドとは思えない程に可愛らしい子と対峙していました。
リノリスを含むアンドロイドは、私が見た限りでは全員が成人位の見た目をしているのに対し、機械生命体から出て来た彼女の見た目は私と同じ位でした。
「貴女……アンドロイドですか?」
「そうだよ、お姉さんは?」
「人間です。どうして機械生命体の中に居たんですか?」
「私だけじゃないよ……アレの中には破棄されたプロトタイプのアンドロイドのパーツが組み込まれているの。そして機械生命体は効率的に稼働させる為に自動再生機能が組み込まれてる、それで私達は復活したの」
ふむ、つまりマザーステーションで戦った機械生命体……ブレイクマシーンにもアンドロイドの誰かが入っていたって事なんですかね?その事をリノリスは知っていたんでしょうか?。
「所でお姉さん……その体、私に頂戴?私、人間として生きてみたかったの」
「残念ですがこの体は渡せないです、私にはやる事が沢山あるんで」
「お姉さんの意見は聞いて無いよ……だって私が勝手に奪うもん」
彼女はそう言うと、私目掛けて突っ込んできました。
ギリギリで初撃を避けた私は、両手のサブマシンガンで迎撃しようとしましたが、神速の剣撃で銃を真っ二つにされてしまいました。
私は怯む事無く、他のアンドロイドに効いた電撃を彼女に浴びせる為、雷球を飛ばしました。
しかし雷球が直撃した筈の彼女は意外にも無傷で、再び距離を詰めてきました。
雷が効かない事に対して流石に動揺が現れていた私は、反応が遅れて回避が出来ずに、彼女の接近を許してしまいました。
「無駄だよ……機械生命体の一部にされた私達には電撃は効かない」
「しまった!」
「じゃあねお姉さん……その体は私が人間らしく生きる為に使わせてもらうから」
そう言うと、私の右胸に彼女の剣が深々と突き刺さって来ました。防ごうと魔法の障壁を作ったんですが、あっさりと突破されてしまいました。
「がっ!……あぁ」
「ワザと心臓を外したんだよ?人生最後の痛みと絶望を味わって死んでね?」
そう言って私の左胸の方向にゆっくりと剣を動かし始めた彼女の腕が、大きな爆発音と共に急に弾け飛びました。
衝撃波で吹き飛んだ私は、心臓を傷つけない様に慎重に剣を引き抜きました。痛いし出血も多いけど死にはしない筈です。
何とか剣を引き抜き終わった私は、爆発音がした場所を確認しました。
その場所に居たのは、リノリスでした。ボロボロになったメイド服のまま息を切らして駆けつけて来てくれたみたいです。アンドロイドも息切れするんですね。
「エルシア様!間に合ってよかった……」
「ありがとうございます。……あの、リノリス……私は……」
「話は後です、先に彼女を破壊しましょう」
「わ……分かりました。彼女はプロトタイプのアンドロイドらしいんですが、知り合いだったりしますか?」
「はい、ミュエールです。……性格は別人ですが、やっぱり生き返っていたんですね」
「お前……誰?何で私の名前を知ってるの?」
「それは……貴女の親友だからです。そして今こそ貴女との約束を果たす為に……破壊します!」
そう言って銃を乱射し始めるリノリスの合わせる様に、私も
ミュエールとの戦闘から数十分後、怒涛の戦闘を続けた私たちでしたが、戦況は硬直状態のまま動きませんでした。いや……どちらかと言うと分が悪くなってるかもしれないです。
私は鎌を弾き飛ばされてリノリスの銃も弾切れ、ミュエールの剣も折れてボロボロになった時、やっと今の状況に少しだけ変化が起き始めてきました。
ミュエールが初めて膝を着いたのです……今が攻め時と見ました!。
同じ風に考えていたリノリスも私に続いて突進を仕掛けました。
先に迎撃されて吹き飛ばされた私は、
勝ちを確信したミュエールは、怪しい笑みを浮かべながら私の方に振り返って来ました……その時です。
ドンッ。
鈍い音と共にミュエールの体が揺れました。……彼女の胸には、私の爆魔拳が突き刺さっていたのです。
「ぐぁ!」
「私たちの勝ちです……ミュエール」
そう言って体内から心臓のパーツ……コアユニットを引きずり出した私は、配線を引き千切って踏んで破壊しました。
目から光が失われた彼女は、脱力して私にもたれ掛かる様にして倒れてきました。
彼女を倒した私はリノリスの所に向かうと、ミュエールと最後の別れをしたいと言っていたので、彼女の傍にリノリスを抱いて行き、その場に置いて目的地の方向に少し進んで、彼女の到着を待ちました。
少し時間を置いて、リノリスの泣き声が聞こえてきましたが、私は聞こえてないフリをして目を閉じると、哀悼を捧げながら彼女が泣き止んで合流するのを待つのでした……。
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