14節 戦略と、私の思惑と、完璧な作戦
はいどーも、私です。段々と見る物全てがアホ毛に見えて来たエルシアです。
私たちは今、最後のレジスタンスの拠点で人形の襲撃を受けている所です。
しかしまぁ……本当に此処のレジスタンスたちは強いですね。乗り込み型の機械生命体みたいなロボットの頑丈さと破壊力が凄まじくて、人形が蟻んこ同然にプチプチ踏まれて破壊されています。
「さて、エルシア。君にはA・Aを使って戦略的に空中の人形共を殲滅してもらいたい。無論、私達も指示を出してもらえれば攻撃に参加しよう……やってくれるか?」
一方的な状況を見て呆気に取られている私に、リーダーが問いかけてきました……断る選択肢は無いでしょう。
「分かりました。此処のアンドロイドの数と武器種、それと分かる範囲で人形たちのデータを下さい。あ……それとこの付近の建物と地形データも欲しいですね」
「フッ……本当に成長が早いな、君は。既にデータは整っているぞ」
そう言って空中に半透明な画面を出したリーダーは、簡潔に、そして的確に私の欲しい情報をくれました……もしかして私が情報を聞く事を予想して準備していたんですかね?。
まぁ何はともあれ準備は整いました、既に勝利への戦略も練れています……後は実行に移すだけですね。
「ロボット部隊は権勢射撃を行いながら、ポイント11に向かって下さい。歩兵射撃部隊は私たちの場所に終結、歩兵近接部隊は周囲の人形を殲滅しながら廃墟ビルより道路1つ分挟んだ場所で包囲陣系で展開、私の指示を待って下さい」
「ロボット部隊、了解」「射撃部隊、了解です」「近接部隊、廃墟ビルに向かう」
よし……後は私とリノリスが何処までやれるかがカギですね、頑張りましょう。
「リノリス、ビルの上に人形たちが集まって来ます。そうしたらA・Aを破壊して飛行能力を奪って下さい」
「かしこまりました」
私の指示を聞いてミュエールを展開させたリノリスは、人形たちから目を離さずに私の指示を待ち始めました。
一方リーダーはと言うと、私の動きを見ながらニヤニヤしていました……何か怖い。
しかしまぁ、戦略もやってみると案外出来る物ですね。もしかして私にはこっちの方が戦い方向いてるんじゃないかと錯覚を起こしそうになる程に順調な動きです。
そんな事を思っていると、ロボット部隊はポイント11に到着。私の思惑通りに人形たちはロボット部隊を追いかけて、攻撃して来ない別のアンドロイドには見向きもしません。
「リノリス、今です!」
私の指示と同時に、私はA・Aで、リノリスはミュエールで飛行能力を削ぐ為に空中制御装置とフライトユニットを撃ち抜きました。
爆発しながらビルの屋上に落ちて行く人形たちを確認した私は、ロボット部隊にビルの屋上を斉射する様に指示を出すのと同時に、歩兵射撃部隊にビルの7階を撃って破壊する様に指示を出しました。
ロボット部隊の攻撃で屋上が煙まみれになった頃、ビルは7階の柱を何本も失い自重に耐え切れず崩壊を始めました。
そしてビル崩壊後、残党を破壊する為に道路を挟んで待機させていた歩兵近接部隊をビルの残骸に特攻させ、ロボット部隊を撤収させました。
暫くして近接部隊から人形の殲滅を確認した報告を受けた私は、全アンドロイドに作戦終了の旨を伝えて、ドヤ顔しながらリーダーを見ました。
「どうです?我ながら完璧でしたけど」
「悪く無い……が、まだ甘いな。第2波が来る事まで予測して指示を出したのは良かったが、ロボット部隊の撤収が早すぎた。あれじゃ対処するまでに死者が出ていたぞ」
「……マジですか」
「とは言え、初陣でこれだけやれるんだ。後は実戦を重ねて行けば自ずと身に付くだろう。頑張ってくれ」
「はぁい」
「気の抜けた返事だが……まぁ良い。君にご褒美として良い場所を教えてあげよう。……此処から少し西にアンドロイドの残骸と貴重なデータが眠っている、確かめて来ると良い」
「分かりました。でも先に、他のレジスタンスたちに作戦開始時間の説明をしなくちゃ……」
「それは私の方が適任だろう。後から君達にも伝える、だから安心して行って来ると良い」
「うーん……それじゃ、お言葉に甘えて行って来ますね」
私はリーダーにお辞儀をすると、リノリスを連れて西にあるらしい貴重なデータを見に、魔道昆で飛んで行くのでした……。
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