2章 北の最果てを目指す少女
プロローグ
ピンク色の花弁がそよ風に吹かれて舞い上がる中、少女は小さな木に引っかけたハンモックの中でユラユラと揺られていました。
天気は非常に良く、ポカポカと温かい陽気が眠気を誘ってきます。
「ふわぁ……眠くなってきますねぇ。ちょっと寝ちゃいましょうか……」
ハンモックの中で本を読んでいた少女は、思いっきり背中を伸ばしながら大きくあくびをして辺りを見わたしました。
時間は既にお昼頃でしょうか、近くを通り過ぎる行商人が手に持つお弁当から美味しそうな匂いが漂ってきます。
「ん~……お腹も空きましたね。ただ今から行動を起こすのもなぁ……」
独り言をつぶやく少女は北側の空を見上げながら言いました。向こうの天気は最悪、黒く曇った空からは時々稲妻が落ちているのが確認できます。
旅人である少女の次の目的地は北方向……つまり天気が悪い場所になります。
「最近ずっと北側はあんな調子ですよね。今あっちに行ってしまったら暫くは日向ぼっこが出来ないかもしれないですね……」
う~んと唸った少女は、考えを纏めると再びハンモックに身を委ねました。
「今日位はのんびりしたってバチは当たらないですよね……」
そう呟いた少女は、ロングカーディガンを掛け布団の代わりにして夢の世界へ誘われていきました。
さて、既に小さな寝息を立てている白いワンピースに身を包んだ、金色の髪が魅力的な少女……彼女は何者なんでしょう?。
……え?お前だろうって?毎度似たような事するなって?まだ二回目じゃないですか!!。
そうです、少女の正体、それは……私なのでした。
……何故か私の挨拶って綺麗に締まらないですよね。
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