6節 レジスタンスと、旧世界の情報端末と、襲来する人形
はいはい、私ですよー。「アホ毛のツボ」という本に書いてあった場所を刺激したら、どういう訳かアホ毛の先端から熱エネルギーのビームが出る様になったエルシアですよー。つよそう。
私たちは今、他のテロリストなアンドロイドたちに応援を頼む為に、北ブロックの色々な所を回り始めた所です。
あ、因みに彼女たちはテロリストと言われると怒るんで、レジスタンスと呼ぶのが正解みたいですね。
そんな訳で、空中を魔道昆で飛びながら目的地を目指してる私たちなのですが、どうも最近リノリスの様子が変なんですよね……悲しそうというか、辛そうというか。もしかしたら何かに怒ってるのかも知れないですね。
うーん、何か声を掛けてあげるべきなんでしょうか?一応私の従者な訳ですし。……とは言え何を思ってるのか読めないんで、的外れな事は言いたくないですし……うん、もうちょっと様子を見てみましょう。
そんな事を思っていると、次の目的地が見えてきました。
うん?……中心に立ってるアレは何の建物なんでしょうか?図書館の様にも見えますが、何と言うか……デジタルな感じの見た目をしてますね。まぁ行けば何の建物か分かるでしょう。
「リノリス、そろそろ目的地に着きますよ」
私は魔道昆に座って、私の腰に抱き着いてるリノリスにそう言いました。
「はい……あの……エルシア様?」
「うん?どうしました?」
「……自身の選択した行動に後悔をした事ってありますか?」
「どうですかね……一応自分で決めた事は、何があっても悔いないと旅に出た時に決めているんで、今の所は無いですかね」
「……そうですか。それでは御自分を英雄だと思った事、ございませんか?」
「英雄?まさか。私はそんなガラじゃありませんよ。……ただまぁ、最近は大抵の事なら一人で何とか出来るって気はしてますけど」
「と、言いますと?」
「此処に来るまで、私は色々な人と戦いました。沢山の命も救ったりもしました。確かに何度か死にかけた事はありますが、結局私は生き残ってきました」
「つまりエルシア様は強いから、大抵の事は何とかなると?」
「それだけじゃ無いんですが、まぁ大体そんな所です。私は以前に比べて強くなってるし、その力を正しい事に使ってるとも思っています。今の私なら誰と戦ったって死なない自信はありますし、どんな苦境の人だって救える自信があります」
「……ですがエルシア様が戦って誰かを救えたとして、殺された方の遺族は救えてると言えるのでしょうか?」
「そんなの知りませんよ。私は悪者しか殺しません」
「……そうですか。突然の質問、申し訳ありません」
「気にしないで下さい。私も話さないと暇を感じてしまうんで」
そんな会話をしている内に、私たちはレジスタンスの基地になっている図書館の様な建物の前に到着しました。
早速おっかない物を突き付けられた私たちは、少し面倒ですが彼女たちの誤解を解く事から始めました。
〇
はい、どうにか私たちが敵では無いと分かってもらう事が出来ました。
しかし此処のレジスタンスメンバーは頭が固いですね……納得してくれるまでに数時間も掛かりましたよ。はぁ。
さてと、さっさと話を済ませて次に行きましょう。私は此処のリーダーに、事の経緯と今後の活動内容の説明をすると、直ぐに次の場所へ向かって飛び立とうとしました。
しかしリノリスが此処でしか出来ない用事があるとか何とかで、私たちはレジスタンスが使用している休憩室で、一晩過ごしてから次に向かう事になりました。
とは言え私はまだ眠く無いんですよね。……暇だし図書館っぽい建物の中を見て回る事にしましょうか。
こうして建物の中を見回ってみた私は、やっぱり此処が図書館だという事が分かりました。
とはいっても、今の世界の技術で作られた図書館では無く、旧世界の技術で作られた物みたいです。空中に浮かぶ半透明な画面に触れると、触れた内容の情報が現れる仕組みらしいですね。ふむ……とっても興味深いですね、暫くの間いじり倒しましょう。
こうして私は、なんだかんだ朝まで図書館に籠り、気が付くと、うたた寝してしまっていました。
その後、うたた寝してしまった私をリノリスが発見してくれたんですが、図書館で倒れてるのを発見した彼女は、とっても焦ったらしいです。ですが私の寝息が聞こえてホッとしたと後から語っていましたね。
そんな訳でリノリスに保護されて、ベットまで運んでもらった私は、数時間後に聞こえた大きな爆発音で目が覚めるのでした。
ドォォン。
「うっさいですね……何事ですか?」
気持ち良く眠ってたのに、それを遮られた私は少し機嫌が悪く、ちょっとイライラしながらベットから起き上がって周囲の確認を取りました。
「おはようございます、エルシア様。ただいま人形の襲撃を受けている所です」
「またですか?この前も襲撃に遭いましたよ」
「えぇ、ですが今回の人形は、恐らく術式を使っていると予想されます」
「そうなんですか?相手したくないなぁ……」
そんな呑気な事を言いながら髪を梳かす私の背後を、大きな爆発音を上げた何かが通り過ぎて行きました……また髪がボサボサですよ。
「……今のは?」
「人形ですね、全身に術式を纏って突進しているみたいです」
「うわぁ……燃費悪そうな戦い方ですね」
支度を終えた私は、魔道昆とショーテルを持って、レジスタンスが居る場所に向かって行きました。
「あぁ君か、おはよう。よく眠れた?」
「おはようございます、おかげさまで寝起きがすこぶる悪いです」
そんな話をしながらも、正面から迫って来るA・Aを装備した人形の部隊を迎撃し始めた私ですが、リノリスたちに術式を使ってる人形の相手をしてほしいと言われてしまったんで、仕方ないですがそっちの相手をしに行きます。
まぁ恐らく術式使いとの戦闘に最も慣れてるのは私でしょうし、空中に居られると私の攻撃手段が殆ど無くて、実質戦力外だったし仕方ない気もしますが……何となく面倒な相手を押し付けられただけの様な気もしてムカムカしますね。
「さぁ術式使いのお人形さん!私が遊んであげますよ!どっからでも掛かって来て下さい!」
先程術式が通過して行った場所の前で、両手を広げながら叫んだ私は、背後から突進してくる人形の存在に気付き、相手を観察する様に見ながら避けました。
うん、あれは術式で身体強化をしているだけで、術式での攻撃はしてこないみたいですね。だったら何とかなるかな。
完全に人形の攻撃を避けきった私は、鎌を構えました。
私に攻撃を避けられた人形も、壁に激突して一旦動きを止めると、私の事を警戒する様に睨みつけてきました。
さぁ、久々に術式の相手です。気乗りはしませんが頑張りましょう。
こうして私は、イノシシの様に突進を繰り返す人形と激戦を繰り広げていく事になるのですが、それはまた次のお話で……。
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