10節 誰も居ない拠点と、旧世界の銃と、以外過ぎる機械生命体の中身

 ふぁい、私です。温泉で体を洗ってる最中に、アホ毛が頭を洗ってくれるんで楽させてもらってるエルシアです。アホ毛の伸縮性と強度には驚きです。


 ノヴァさんのお陰でヘコんだ状態から復帰した私は、今日もレジスタンスの所に来ていました。


 しかし不思議ですね……いつもの様に尋問されるかと思っていたんですが、誰も出て来ないです。いや……もしかして誰も居ない?。


 物音1つしない不気味な廃墟が私の眼前に広がっているだけです。でも生活跡の様な物は確認できる辺り、つい最近まで誰か居た事になります……。


「あのー!誰か居ますかー?」


 私は声を上げながら、辺りの探索を始めました。


 しかし焚火跡や足跡は幾つも確認できるのに、肝心の本体が何処にも居ないんですよね……不気味です。


 その後、レジスタンスの痕跡がある場所全てを探索した私でしたが、やはり誰も居ないです……と言うか消えてますね、これ。


 そう、足跡が急に無くなっているんですよ。まるで空中に消えてしまったかの様に……。


「うーん……仕方ないですね。面倒事に付き合う気は無いんで、旧世界に資料が保管されてる場所を見て回ったら、次に行っちゃいましょう」


 こうして、私はレジスタンスの拠点の中心部に在る旧世界の建物に向かって歩いて行くのでした。



 付近の探索も欠かさず歩く事10分程度、ようやく中心部にまで来ることが出来ました。


 いやー、しかし良い物を拾いました。しっかりと探索した甲斐があるって物ですね。


 ……ん?何を拾ったかって?ふっふっふ……これで私もノヴァさんやリノリスの仲間入りですよ。じゃーん!ライフルでーす!。


 いや使い方が分からないだろうって?その筈なんですが……何故か知ってるんですよね、何ならバラしてメンテ出来る程の知識があります。


 弾倉を抜いて銃本体に残っていた弾をコッキングして弾き出すと、再び弾倉を装填して、照準サイトを覗いてみました。


「ふむ……此処に敵が入った時に引き金を引けば良いんですよね。片目を瞑ると狙いやすいですが、周りが見えないのが難点ですね。……そこは練習で目を慣れさせていけば何とかなりますかね?」


 色々な所で照準を付ける試しをしていた私ですが、不意に空から降って来た赤い液体と何かの残骸に驚いて、照準を付けたまま上空を見上げてしまいました。


 其処には何と、体を真っ二つに斬り裂かれて、大量の血と内臓に似た機会をぶちまけたアンドロイドが、何かに掴まれてぶら下がっていました。


「なっ!?何ですか!?」


 驚いた私の声に反応した何かは、体を斬り裂かれたアンドロイドを私の前に叩き落すと、大きく飛び上がって空中に停滞し始めました。


 グチャ。


 人間同様に気味の悪い音を出しながら潰れるアンドロイド、まだ自我が生きているみたいで口をパクパクさせながら涙を流しています。


 流石に見ていられなくなった私は、地面に電撃を走らせて、彼女の機能を完全に停止させました。


「ごめんなさい、私にはこの方法でしか助けてあげられませんから……」


 そう言いながら空中を飛んでいる機会を見た時、私は此処のアンドロイドが何処に行ってしまったのかを悟る事が出来てしまいました。


 皆……グチャグチャの状態で、機械生命体の体に無理矢理装着させられていたんです。


 そしてどうやら、奴の次の補償対象が決定した様で、不気味に手先を動かすと私の方にゆっくりと近付いてきました。


「へぇ、私を狙いますか。……だったら捕食対象を間違えたって事を教えてあげますよ」


 私は一旦、距離を開ける為に旧世界の建物の中に避難しました、そして私は運が良いみたいです。この建物……旧世界の武器や弾薬が展示されてる建物でした。


「最高です……吹き飛ばしてあげましょう!」


 私は手当たり次第に銃を取ると、壁を突き破って来た機械生命体に向けて撃ち放ちました。


 ドォォォン。


 ダダダダダダダッ。


 右手にはグレネードランチャー、左手にはサブマシンガンを持って、弾切れになるまで撃ち尽くすと、さっさと銃を捨てて新しい銃を手に持ちました。うひょ!?これって記憶の中で乱用されてた兵器、ロケットランチャーじゃないですか?これはもう勝ちましたね、撃ったら勝つみたいなイメージがあります。


 私はその場でロケットランチャーを標的に向けてぶっ放しました。バックブラストでお尻が焼ける様に熱かったですが、魔法の障壁が守ってくれたみたいで火傷跡が残らずに済みそうです。


 あ……バックブラストと言うのは、無反動砲と呼ばれるバズーカが弾を撃ち出した際に後ろから溢れ出るガスや爆炎の事です。基本的に室内で撃てない理由は、バックブラストで蒸し焼きになってしまうからだとか……だったと思います。しっかりと記憶を見たわけでは無かったので、何か曖昧な感じになってしまっていますが、ごめんなさい。


 さて、ロケットランチャーが命中した機械生命体なんですが、とうとう地面に叩き落す事に成功しました。しかし原型が残ってるみたいなんで、木っ端微塵にバラしましょう。


 はぁ、アンドロイドと言い機械生命体と言い、何で彼女たちはこんなに硬くて生命力が高いんでしょうか?完全に破壊しないと安心できないです。


 サブマシンガンを2丁持った私は、落ちた機械生命体のとどめを刺しに近付きました。その時です。


 ブシャ。


 血が噴き出る音と共に、右脇腹に痛みが走りました。


 脇腹を確認してみると、細い剣が突き刺さり、刀身を私の血が伝って流れていました。ほらやっぱり生きてた。


「うっ……このっ!」


 ダダダダダダダダダダダダン。


 私の撃つ弾は、何故か機械生命体に当たらず、離れた場所の飛びながら逃げてしまいました。


 片膝を着いて相手を確認した私は、驚きを隠せませんでした。


 凄く綺麗で可愛いアンドロイドが、其処には居たんです。


 まさかこの子が機械生命体の正体だったなんて……。


 私は踏ん張って立ち上がると、銃を乱射しました。しかし弾は全て躱されて、懐に入り込んできたアンドロイドが、再び剣で斬り掛かろうとしてきました。その行動を予測していた私は、彼女の腕を掴んで投げ飛ばすと、再び射撃体勢に入りました。


 この後、アンドロイドと激戦を繰り広げるも、少しずつ追い詰められてしまう私なんですが、それはまた次のお話で……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る