エクストラストーリー エピソード・リンネ

 リンネは、道端で一人の少女を縄でグルグル巻きにして捕まえていました。


「貴女、急に襲って来てどういうつもり?」


「……」


「槍使いなんでしょうけど、動きがなって無いわよ」


「……」


「何も話す気は無し、と……仕方ないわね」


 リンネは少女の持っていた槍を拾い上げると、彼女に刃先を向けました。


「くっ……殺s」


 バシュン。


「いぴぃ!?」


 少女が「殺しなさい」と言い切りる前に彼女の頭部を槍が通過していきました、流石に心の準備ができていないと変な声も出るってもんです。しゃーない。


「うん?何か言ったかしら?」


「あ……えと……その……こ……殺」


「なぁに?よく聞こえないわ」


「ひぃー!」


 リンネの漆黒の笑みにビビりまくった挙句、気絶したこのくっ殺少女の名前はシラユキ……彼女いっつも捕まってますね。



 その後、目覚めたシラユキは、リンネから色々と説教を受けました。


 主に自分の命を大事にしない言動や、急に奇襲を掛ける残忍さ、そして奇襲の癖に相手に気付かれてしまう程に放出した負のオーラ、後は衣装の乱れで、お説教されてました。幾つかは生まれ持った物だから仕方ない気がしますが、怒られたくないんで黙っておきます。


 さて、とりあえず縄から解放してもらったシラユキは、槍の使い方を教わる為にリンネに弟子入りを求めました。


 しかしそんなの取る気が無いリンネは、数日の間だけ、基礎を叩き直して応用が利く動きを伝授すると伝えると、近くにあった街に向かって行って宿を取るのでした。



 シラユキと共に宿を取ったリンネは、お洋服屋さんでシラユキを着せ替え人形にして遊びました。……いや遊んでは無いんですが、本人はメッチャ本気なんですが、周りから見たら遊んでる様にしか見えなかったのです。


 とりあえずシラユキに買ってあげた服は……何と言うかゴスロリな感じの服でした。まぁ元から着ていた服がゴスロリだったんであまり変化は感じられませんが、単純に可愛さを追求したようなデザインのゴスロリになりました。


 ですが見た目に反してこの服には魔法や斬撃を軽減する魔法が付与されているのでした。


 早速新たなゴスロリになったくっ殺……おっと失礼。シラユキは、直ぐに槍の使い方のレクチャーを受けながら魔物を倒して実戦経験を積んでいきました。



 リンネから槍での戦い方を教わってから数日が過ぎた頃、彼女はノヴァからの連絡を受けて旅立つ日が来ました。教えられる事を殆ど教えたリンネは、最後に1つだけ大切なアドバイスを残してシラユキの前から立ち去りました。


「自分で考えて悩んだ末に、悪だと思う者に対して、その力を使いなさい」と。


 その言葉を最後の教訓として胸に刻みつけたシラユキは、数日後にエルシアと出会う際にも、彼女の言葉を思い出して、悪を見定めながら戦っていくのでした……。

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