8節 古墳と、孤独と、覚醒する私(1)

 はい、私です。いつも通りに私です。


 私たちは今、ユミリアを脱出して、酒場のマスターに聞いた古墳前まで来ていました。


「エルシアちゃんが酒場で聞いた、古い建物って此処?」


「はい、古墳らしいです」


「……コフンってなに?」


 ……まぁ余り古墳なんて聞かないとは思いますが、割と一般常識の質問に思わず苦笑いが出てしまう私を不思議そうに見るユズ。……軽く説明しておきますかね。


「簡単に言えば、昔の偉い人のお墓ですよ」


「……何か怖いの出てきそう」


「今まで出た事が無いんで平気だと思いますよ。……でも万が一出てきたらユズを置き去りにして、さっさと私だけ逃げるんで頑張ってついて来て下さいね」


「エルシアちゃん幽霊とか苦手だもんねー」


 ……何故かニヤニヤするユズ。私の弱点が幽霊だと教えなければ良かったと思う今日この頃。


 ま、ボヤいてても仕方ないですし、出来るだけ早くこの付近から離れたいのも事実なんで手早く調査を済ませましょう。


「ほら、行きますよユズ。早くしないとノヴァに見つかっちゃいます」


「あーい」


 こうして私たちは、古墳の奥深くに降りて行くのでした。



 階段や梯子を下りながら潜る事数十分、どうやら此処が最下層の様です……初めて古墳に潜った訳では無いんですが、このどんよりした空気と手元の松明以外の光が無い状況、そして物音1つ無い環境が怖くてたまりません。私を驚かす策略を立てていたであろうユズも黙りこくって……あれ?ユズが居ない。


 私は松明の明かりを頼りに周囲に目を凝らしますが、見当たりません……。


「ユズ……どこですか?」


「……」


 私の呼びかけに、ユズは応答しません。ふざけているんですかね?……いや、そうであってほしいと願いながら、私は再び呼びかける事にしました。


「……ふざけてる場合じゃ無いですよ?」


「……」


「此処は凄く暗いんです、逸れたら合流できないですよ。特にユズは道さえマッピングしてないんですから地上に戻れないですよ」


「……」


 私の胸の内側がそわそわしてきました。これは焦燥感?それとも不安でしょうか?もしかしたら悲しみや怒りの類かもしれないです。


「ユズ……いい加減にしないと怒りますよ。早く出て来て下さい」


「……」


 それでもユズの反応はありません。


 私以外誰も居ないこの空間……此処にあるのは全てを飲み込む暗黒と異常なまでの静寂さ……この世界から光が消えて、私以外の生き物も消えてしまった様な、そんな感覚に陥ります。


 ……私は今まで、古墳等の地下に続いてる建物の最下層まで降りた事はありませんでした。その理由は、「何となく怖いし止めておこう……」という認識だと思っていましたが、どうやらそれは違ったようです。


「ユズ……ユズ……!出て来て下さい……ぐすっ……こんな所で……私を一人にしないで……!」


 私が最下層に降りなかった理由……きっと寂しかったんです。今まで当たり前に見えていた色や聞こえていた音が無くなるのが寂しくて悲しくて怖くてたまらなかったんです。何処までも続く闇が不安で、何かに押しつぶされそうな気がしてたんだと思います。


 思わず涙がポロポロと溢れ出して、助けを求める様にユズの名前を呼び続ける私。


 こういう状況でパニックを起こすと生還出来ない事は分かってるんで、あくまで理性的に次の行動を考えているんですが、どうしても感情が上手くコントロール出来ていない様です。


 本来は無駄に叫んでエネルギーを消耗するよりも、静かにその場で佇んでいる事の方が正解です。ただでさえ暗闇に松明があったら目立つんですから、体力の消耗を抑えて1日待ち続ける方が無難な択というものです。


「ユズ……ぐすっ……お願いだから出て来てよぉ」


 松明を地面に立てて、その場に座り込む私……「もっとしっかりユズの事を見ておけば良かった」そんな後悔が私の脳裏をよぎります。


 こういう状況だと、人間はネガティブな事ばかりを考えてしまう生き物です。もちろん私も例外では無いです。


 私は、何処から来たかも覚えてますし、マッピングしてるんで問題ないです。でもユズはマッピングもしてないし、松明すら持っていない……もしかしたらユズは此処から出て来れずに死んじゃうんじゃ……そう思うと更に悲しい気持ちが前面に溢れ出して、それを体現するかの様に涙が溢れ出しました。


 冷静に考えて、暗黒から明かりも無しに脱出する事は不可能です。頭の何処かではユズはもう助からないと、そう思う私が居る事がどうしようもなく嫌で、そんな事を考えてしまう自分自身に怒りが込み上げて来て、でも客観的に見ればユズの生存確率の低さも分かってしまう訳で……私自身、もうどうしたら良いか分かんなくなってきている様です。


「……もし此処でユズが死んじゃったらどうしよう?私が古墳に入るなんて言わなければこんな事にはならなかったのに!私のせいでユズが死んじゃったら、私……!」


 ちょっとした自暴自棄に囚われていると、少し離れた場所からうっすらと光が差してきている事に気付きました。


 私は松明を持って立ち上がると、その光の方へ歩みを進めていきました。


 今まで見た事の無い光です、一体何の光なんでしょう?。


 もしかしたらこの先にユズが居るんじゃ?。そんなありえない希望を胸に一歩ずつゆっくりと進んでいきます。


 そもそもユズがこんな光を放つ道具を持っていない事は知っています、でもこんな場所に居るのは私とユズ位です。


 光の前に着くと、どうやら下から光が溢れて来ている事が分かりました。此処が最下層だと思っていたんですが、違うんですかね?。


 何も考えずに、その光に手を差し伸べたその時、ズル……ズル……と重い音を立てながら足元の石がずれていき、徐々にその光が大きな輝きを放ち始めました。


「眩しっ!」


 思わず目を瞑ってしまう程の大きな光の中から、微かに聞き覚えのある声が響いて来るのが分かります。


「おーいエルシアちゃーん、助けてー、ここ何処ー」


 この緊張感の無い救援要請、これは間違いなくユズです。


 安心すると、何故か更に涙が込み上げてきました。早くユズに会いたいという気持ちが高ぶってきました。


「ユズ!今行きます!」


「ほぁ!?エルシアちゃん!」


「そこから動かないで下さいね!」


「はーい」


 私は松明の火を消して、急いで光が溢れ出る穴に設置された梯子を滑り降りていきました。


 そして下に着くと、何が起きているのか分かって無い様な表情をしたユズが、そこに居ました。


「ユズ……」


「あー、やっと会えたよー。此処ってなんだろうね……エルシアちゃん?」


 ユズが何か喋っていますが、問答無用で抱き着く私。そんな私にビックリして、どうしたら良いのか分からずワタワタする彼女を無視して全力で抱きしめました。


「うぅ……良かった……ユズが無事で良かったぁ……ぐす」


「おー、敬語じゃないエルシアちゃんって結構レアな気がする」


 その後しばらくの間、私は無言でユズに抱き着き離れませんでした。



「えーっと……それでエルシアちゃん、コレが何か分かる?」


 とりあえず落ち着いた私は、ユズを見失って探すまでの経緯を話した所、どうやら最下層に辿り着く前に逸れていた事が発覚しました……本当に良く無事でしたね。


 ユズは周りがまともに見えていなかった為、とりあえず明るい方に向かって歩いていたらしいです。そして見覚えの無い光が、最下層に続く梯子の更に奥に見えて、それが私の発する光と勘違いして歩いて行った所、急に床が抜けてこの場所に辿り着いた、との事、私は全然気付かなかったんですが、確かに床が抜けて崩れている所を見ると、嘘では無いようですね。


 で、更に不思議な事に、この場所には謎の光を発する物体が沢山置いてあるんですよね。そしてその中心、そこには見るからに武器の様な何かが飾られていました。しかし武器にしてはこれは大きすぎる気がします……縦にすると私の身長以上の長さですよ、どんな巨人がコレを使っていたのでしょうか……。


「間違いなく今の世界の技術では無いですね……迂闊に触るのは危険なんで近づかないで下s」


 ――ビー、ビー、ビー。


「……へ?」


 急に巨人の武器の周りから音が鳴り響き、辺りが赤色の光に変化しました……何事ですかね?。


「あー……エルシアちゃんごめん、触っちった」


「触っちったじゃ無いでしょう!いいからそのトンデモ武器から手を放して下さいよ!」


「コレ引っこ抜いたらさ、うるさいの止まるんじゃない?」


「何で元の状態に戻すって選択肢が無いんですか?」


 私の言葉に耳を傾けずに、ユズは音の鳴るトンデモ武器を力一杯引っ張りました。そして……。


 ガチャン!と良い音を立てながら置いてあった場所から外れて、ユズの元へ落ちて……いや、吹っ飛んできました。


「ふぎゃあ!」


 そこそこの距離を吹っ飛んだユズと武器は、反対側の壁に激突する形で止まりました。


「ほーら言わんこっちゃないです。大丈夫ですか?」


「大丈夫……やっぱり引っこ抜いたら音消えたよ!」


 私の差し出す手を握って立ち上がるユズが、ドヤ顔で私の方を見てます……手を放してやりましょうか。


 まぁそんな冗談は置いといて、結果論ではありますが音も赤い光も消えて、一気に静かな空間が戻ってきました。……私は何となくトンデモ武器を手に持ちましたが、異様に軽いですね、コレ。


「それにしてもこの武器、やたらと重く無い?」


「え?ビックリする位軽いじゃないですか」


「……エルシアちゃん脳筋」ボソッと呟くユズ……聞こえてますよ。


「何か言いました?この重い武器で殴られたい?」


「い、イヤーエルシアチャン、チカラモチダナスゴイナー」


 私はこの重いのか軽いのか分からない武器を元の場所付近に立てかけて、改めてユズと観察を始めました。


「これはユズの持つボウガンと似た感じの武器なんじゃないでしょうか?」


「でも矢が見当たらないよ?かといって斬れる訳でも無いし……ハンマー?」


「ヘンテコなハンマーですね」


「それは旧世界の兵器、アサルト・アーマーだ。」


 よく分からない結論を出す私たちの背後から、急に聞き覚えのある男性の声が聞こえてきました。


 一瞬にして危機を感じた私たちは武器を展開、一気に声のした方へ振り返りました。


 最悪の展開です……私たちの背後から現れた男性、それは……ノヴァでした。


「……何で、こんな所に居るんですか?」


「何でって……そりゃお前達を探していた訳だからな」


 うーん、何だか戦う気が一切感じられないですね。これは……もしかしたら逃げるチャンスがあるかもしれないですね、もう少し話してみましょう。


「この光って何ですか?さっき赤くなったりしてたんですが……」


「これはライトだな、空白の50年以前も使われてた技術だぞ」


「これがライトですか……初めて実物を見ました…でも、だとしたら電力は何処にあるんでしょう?」


「そういったエネルギーは、全てそのA・Aから補給されていた筈だが……いつから外れてるんだ、ソレ」


「あーほら、やっぱり外しちゃ駄目だったんですよ」


 私はこのA・Aとか言われるヘンテコ武器を持ち上げると、元あった場所に戻しました。


「お前……それ持てるのか?」


「え?えぇ。貴方は持てないんですか?」


「武器の製作者が持てない訳無いだろう」


「……二人とも脳筋」ボソッ。


「「あぁ?」」


「イヤーフタリトモチカラモチデスゴイナー」


 ……はぁ、まぁユズは放って置くとして、良い感じに戦闘する流れから外れました、後は何とか説得して逃がしてもらえれば――。


「さて、横の奴は殺る気満々だし、始めるか?」


 ユズ!?何やってんですか!?ここまで作った流れを無駄にしてくれました。


「何してるんですかユズ!折角退けられそうだったのに!」


 私はノヴァに聞こえない位の声で、ユズに訴えました。


「いや、あれはきっと何があっても私たちを殺すと思うよ!それにどれだけふざけてても私はエルシアちゃんを殴ったアイツが許せない!」


 ユズ……あぁもう全部無茶苦茶です、もうなる様になれば良いです。


「はぁぁ、出来れば戦いたく無いんですが、仕方ないですね」


「よし来い……遊んでやるよ」


「お手柔らかにお願いしますよ」


「はっ、冗談」


 ユズは既にボウガンに矢を装填していつでも撃てるように構えてます、私も素早くバタフライナイフをノヴァに剣先を向けて構えました。


「前よりも随分と腰の据わった構えになったな。だが……」


 ノヴァは例の蒼く光る刀、蒼月刀を展開させ、ゆっくりと構えながら殺気のこもった声で呟きました。


「不意打ちだろうが、もう当てられると思うなよ」


 彼の目からは、今まで感じた事の無い程の殺気を感じました。正直怖いです、でもここは踏ん張り所なんで頑張ります。


「それはこっちのセリフですよ……その術式、破壊させてもらいます」


「……ほう、その情報量は存外侮れないな」


「……いきます!ユズ、お願いします!」


「あいあい、任せてー!」


 こうして、私たちの戦いの幕は切って落とされました。



 私たちは街に居る時に、リンネさんからノヴァの動きの癖を教えてもらっていました。その為、対策は割と沢山立てる事ができ、現在私たちはノヴァを圧倒……と言えば嘘になりますが、かなり押せています、この調子でいけば何とか退く事も出来るでしょう。


 でも、リンネさんが絶対に勝てないと言っていたのが気になりますが、どうして不安を煽るような事を言ったんでしょう……リンネさんはまだ、私たちに言って無い事がある様な気がしてなりません。でも今はそんな事を気にしてる余裕はありませんし、このまま一気に押し切って逃げます。


「チッ、俺の動きを読んでんのか、めんどくせぇな」


「右手を振りかざして左方向に動いた、ユズ!後ろです!」


「分かってるよー!」


 ユズは正面を向いたままボウガンだけを後ろに向けて放ちました。うーん、命中はするんですが術式を突破できません、蒼月刀に力を集中させるとあの障壁は弱くなるらしいんで、私は全力で斬りかかります。


 以前、ユズ相手にやった二刀流が結構戦いやすかったので、今回もそれで行きます。


 まずは私の第一波、右手のナイフで切りかかります。しかしノヴァは直ぐに反撃の姿勢を取り、私の攻撃をいなすとそのまま斬りかかってきました。しかし私はそのまま左手で第2波を仕掛けます。


 ノヴァの攻撃が私に当たる直前、ユズの矢がノヴァの刀に直撃、その反動でずれた彼の斬撃は私の真横、何も無い空を斬り裂き、その瞬間、私の攻撃が彼に直撃しました。これだけ全力で斬りかかって来たんです、手を抜いてたって事は無いでしょう。


 しかし私のナイフは術式に阻まれたまま、彼の体に傷を付ける事は出来ませんでした。まだ全力じゃ無いとでもいうんでしょうか……今更ながら少し不安になってきましたね。


 そんな事を考えていると、ノヴァの攻撃が私の頬を掠っていきました。


「戦闘中に考え事とは、随分と余裕だな」


「いえいえ、もう後が無いんでどうしようか考えていたんですよっと!」


 私の頬を掠めた刀は、そのまま一回転して更に斬りかかってきましたが、左手のナイフでいなしながら、右手のナイフで上半身を斬る……と見せかけて足を突きました。


 やっぱり術式に阻まれます、どうやら全身にあの障壁があると見て間違い無いようですね、もう本当に厄介です。


 ユズは今ボウガンに再装填中、もう少し時間がかかりそうです、その間はノヴァを私一人で捌かなければなりません、何とかしてみせます。


 完全に無防備になったユズに、一瞬だけノヴァが注意をそらしました、これを見逃す私じゃ無いです。二本のナイフで一気に畳み掛けます。


 10回、20回、30回と連続で斬りかかりますが、やっぱり攻撃は通りません、しかし、ノヴァの視線をこっちに戻す事には成功しました。


「そろそろ鬱陶しいぞ」


「そう思ってくれたなら、作戦通りです」


「ハァ、やれやれ」


 ユズがボウガンに再装填し終わった様で、再びノヴァに構えなおしました、ここで決めましょう。


 今の立ち位置はちょうどノヴァを挟み撃ちにする形になっています、一応これも作戦の内です、そしてこの後、私はナイフを投げ、ユズが一気に乱射して、物量で術式の障壁をこじ開ける、はずでした。


「え……?」


 私の目の前からノヴァが消えたかと思うと、次の瞬間には私とユズの胸元から鮮血が飛び散るのが見えました、そして私の体は崩れ落ちていきました。体に全く力が入りません、何が起こったのでしょうか?。


「やれやれ、手を抜いてる内に逃げて欲しかったんだが」


「――ッ!?」


 今、私の真後ろからノヴァの声が聞こえました……まさかこの一瞬の間に私とユズを斬ったというんでしょうか、1秒経って無いですよ!?ありえないです!。


「安心しろ、どっちも軽傷だ、大した事無い」


 右胸の方がじんわりと痛いです、正面だけ切られて、背中は無傷な所を見ると、どうやら私は正面から斬られたようです。全く見えなかったんですが……。


「逃げてくれればお前等を殺す必要も無かったんだがな」


「殺す……必要が無い?」


「あぁ、お前等に個人的恨みは無いし、問題を起こす奴でも無い、ならわざわざ殺す必要も無いだろ」


「なら……どうして」


「主の命令だからな、しゃーねーんだ」


 主?ライオットの事ですね……私たちはノヴァでは無くて、ライオットに狙われていたんですね。


「おい死神!小娘相手に何を手間取っている!」


 梯子の上から太ったオジサンが現れました……ライオットです、女の子二人が斬られる様を高見の見物とは良い趣味してますね。


「もう死にぞこないじゃないか!さっさと殺せ!」


 下に降りてきたライオットが私の頭を思いっきり全体重をかけて踏みつけてきました、頭が割れそうです。


「がぁ!……あぁぁあぁぁ!」


「エルシア……ちゃん」


「がはははは!良い声で鳴くなぁ小娘!」


「……主よ」


「あ!なんだ!」


「そこ退け、邪魔だ」


 そう言うと、自分の3倍の体重はありそうなライオットをノヴァが片手で遠くまで投げ飛ばしました、この人色々と規格外な気がします、神様は何でこんな凄い人を作っちゃったんでしょう。


 ぼーっとした頭でそんな事を考えていると、天井を破壊しながら何かがノヴァめがけて降ってきました、凄い威力です。ノヴァは何かを掴んだ衝撃でかなり後退させられ、私は衝撃でユズの隣まで吹き飛ばされました。もう踏んだり蹴ったりです。


「この矢、リンネか?」


 ん?リンネさんって弓使うんですかね?持ってるの見なかった気がしますが……。しかしこのタイミングでリンネさんが来てくれるのは心強いです。


 でもあの矢じり、ノヴァの蒼月刀を小さくしたような形をしてますね、気のせいでしょうか。


「エルシアちゃん!平気?立てる?」


 ボケっとしていた私をユズが立たせてくれました。


「ありがうございます、やっと青空が拝めましたね……」


「今の、リンネさんだってね」


「らしいですね、次来ますよ、10本……いや14本です」


「えー……全然見えないんだけど」


 ノヴァの辺り一面に沢山の矢が降り注ぎました、想像以上に強い衝撃波ですが、これはチャンスです、今の内にこちらの体制を整えましょう。


 ここからリンネさんを含む私たちとノヴァの戦闘の2回戦目、その第2ラウンドが始まろうとしていました……。

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