優秀作はコミカライズ。目指せ、漫画原作デビュー! 「1万字以内」のエンタメ小説&エッセイを募集!
9,288 作品
「カクヨムWeb小説短編賞」は2018年よりスタートし、今回で4回目の開催となりました。「カクヨムWeb小説短編賞2021」では、実話・エッセイ・体験談部門を新設し、短編小説だけでなくエッセイも募集しました。その結果、前回を大幅に上回る9,288作品ものご応募をいただきました。ご参加いただいた皆様には厚く御礼申し上げます。
カクヨムでは各種の短編コンテストや「KAC〜カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ〜」のような企画も開催されていますので、応募作品のレベルは年々上がっているように感じます。惜しくも授賞には至らなかったものの、印象に残るキャラクターが登場する作品や、アイデアが突出して面白くSNSで話題になりそうな作品など、ある一部分では受賞作に勝るとも劣らない力作が散見されました。そんな中で、短編賞を受賞した3作品はストーリー展開、キャラクター、文章力などが高いレベルでまとまり、小説として完成度が高く、なおかつコミカライズでさらに輝くポテンシャルを持っていました。
短編賞の「幼馴染シンドロームの処方薬」は登場人物の会話に個性とセンスがあり、青春の繊細な感情に触れられる作品、「鶴に殉ず」は幻想的な世界観の中で、胸が締め付けられるような愛のかたちを耽美な文章で描いた作品、「高校生女子、異世界で油圧ショベルになっていた。」はシュールな設定を存分に活かした、鮮やかなラブコメ作品でした。
短編特別賞の9作品はいずれも秀作で、わずかの工夫や見直しで短編賞を受賞した可能性がありました。作者の皆さまは力量十分ですので、次回にぜひ捲土重来を期してください。短編小説を書く方には参考になる作品ばかりなので、ご一読をおすすめします。
コミックフラッパー奨励賞の1作品は短編小説としての完成度という点で他の受賞作と比較した場合、一歩足りないところはありますが、映像が情景として浮かびやすく、この物語を別の媒体で読みたいと思わせる作品でした。そのため、コミックフラッパー奨励賞を受賞することとなりました。
新設の実話・エッセイ・体験談部門では、7作品が短編特別賞に選ばれました。独自の経験、体験談を見事にアレンジし、読み手に届けることに成功した作品ばかりです。新しい知識が面白く得られる作品から、涙なしでは読めない感動の作品まで、幅広いラインナップとなっています。フィクションとはまた違った角度から、読む楽しみを味わわせてくれる作品ぞろいではありましたが、コミカライズという点では適さない部分もあり、惜しくも短編賞は該当なしとなりました。
最後に、このようなバラエティ豊かな作品が集まるコンテストを開催できたことを、選考委員一同とても嬉しく感じています。今後も長編だけでなく短編小説からも、読者を楽しませてくれるエンタメ作品が多く現れることを期待しています。
カクヨムWeb小説短編賞2021 選考委員一同
あいつが好きかと問われれば、もちろん好きだ。
あいつにもし恋人ができたとしたら、きっと気が気でないだろう。
しかしその感情は、恋と呼ぶには熟成されすぎていて、愛と呼ぶには軽薄すぎる。
これは、幼馴染が抱える諸問題――『幼馴染シンドローム』を解決すべく、日夜不毛な討論を交わす男女の物語である。
わたしの初乗車を捧げても良い──恋をする油圧ショベルはきっと可愛い
女子高校生のわたし、気付いたら森の中で油圧ショベルになっていた!
ここはどこ? どうしてこんなことに? 何もわからないまま、何か事情があって追われていたラーシュさんという男の人を助けることになる。
逃げる中、優しくされて、わたしは自分の操縦席にラーシュさんを受け入れる。乗車されるなんて初めてだし恥ずかしい。でも、この人になら──。
なぜか油圧ショベルになってしまった高校生女子と多分異世界の男性との生物の垣根を超えたラブロマンス。
(満月の晩に泉にいるのは鶴ばかり)
それは誰もが幼い頃から繰りかえし聴かされる御伽噺のような掟だ。
静まりかえった泉のほとりでは姑娘がひとり、身を清めていた。その背には鶴が、いた。翼を拡げていまにも舞いあがらんとする、それはそれは美しい鶴が。
故にそれは。
鶴でなければならなかった。
《鶴》――脈々と一族に受け継がれた因襲。鶴とさだめられた娘は満月を映した浄瑞だけを吸い、十年掛けて刺青を育て、天に昇る。つつがなく鶴が昇れば、むこう五十五年に渡り豊穣が約束され天候の禍に見舞われることはないとされる。故に一族は帝から重んじられ、庇護されてきた。
鶴には衛(まもり)が就く。従者にして護衛だ。だが鶴の衛には祟りがあると語られていた。
「これまでわたしにつかえてきたものはみな、ひととせも経たぬうちに死に絶えた。死ななかったのはおまえだけよ」「おまえは愚かね」「わたしは鶴よ。そう望まれ、わたしもまた鶴であろうと決めたのよ」
恋ではなく、愛かどうかもわからず。
それでも彼女ほど美しい鶴(もの)を俺は、知らない。
「あなたを、遠いところにさらいたいといったら、ついてきてくださいますか」
該当なし
2022年冬 応募開始 予定
次回コンテストの開催情報は、夏頃を目処に本サイト上で順次お知らせします。
詳細はお知らせブログやカクヨム公式Twitterをご確認ください。
「カクヨムWeb小説短編賞2021」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております