人は心で以て幸せを感じる。何気ない一瞬に幸せを感じるとき、心が暖かいと我々はいう。では、心とはなんだ。感じるとは畢竟、脳内物質の分泌であり、究極的には脳だけがあれば、容れ物たる肉体が失せても、人は個人として生きていける。人固有の思考・嗜好はすなわち脳内物質の多寡であり、肉体は脳の命令通りに動くだけなのだから。むしろ肉体を無くせば、怪我や病気、外見による差別などという煩わしさから解放されて自由な生涯を送ることができる。本当に?短編と侮ることなかれ。私はこの一万字に、人生の普遍的な命題を確かに見た。
かっこよく、深い始まり。本格的SFです。西暦2184年。人間は、不老不死と引き換えに肉体を捨てた。脳だけで生きる、未来での深いテーマですね。恐ろしい世界です。作り込まれた世界観。リアリティ。文章もうまいです。4話のそれぞれのタイトル、素晴らしいです。この4文がこの世界を表してますね。素敵な終わりです! 美しいです。名作!
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