ヴェネセティオ王国には人知れぬ言い伝えがあった。
それは『塔の中、不老不死の呪いにかけられた美しい姫が幽閉されている』というものである。
この姫の名は、アデライード。
古の呪いが刻み込まれた、亡国の王女であった。
第一王子レオネルは事の真偽を確かめるため、乳兄弟でもある側近のエリアスと共に、塔へと足を踏み入れた。
プロローグは過酷なものですが、だからこそアデライードに救いを!と、本気で思えるのです。
そんな彼女とレオネルの出逢いも、静かながらに強烈です。
それでも、アデライードにとって光が見えた瞬間だっただろうと、今の段階でも強く思います。
今、こちらの作品は第3章に入りましたが、アデライードが自ら凍らせてしまった心をゆっくりと溶かすような、包み込む強さを持ったレオネルとの日々に、切なくもときめきます。
お互いを分り合いたいがゆえに、ふとした事ですれ違う。
読者としては、このじれじれをもっと味わいたい!という気持ちと、早く2人の本当の気持ちが通じ合え!という気持ちにハラハラドキドキさせられます。
しかし、2人の距離が縮まろうとしている時に、強力なライバルも現れて……。
これがまた魅力的で、アデライードとレオネルにないものを持つ方達なのです。
だからこそ、読まれた方は誰を応援するのか?
それも、楽しみのひとつと言えます。
アデライードにかけられた呪いは解けるのか?
薔薇のように気高い美しさをもつアデライードですが、彼女は誰の光を求めて咲き誇るのか。
これからのアデライードの選択に目が離せません。
深い愛にはどのような種類があるのか、それを知りたい方は是非こちらの作品をお読み下さい。
それぞれの愛を知った時、あなたなら誰を選ぶのでしょうか?
主人公はある男に塔の中に幽閉された。枷をつけられ、男の血によって封印された塔だった。男の歪んだ愛情が、どこまで苛烈であっても、主人公は死ぬことが出来ない。何故なら腰に、かつての恋人が施した不死の呪いがあったからだ。
そこから200年以上も時は立ち、ある青年が主人公のもとを訪れる。しかし長年放置された主人公は、骨と皮ばかりになり、汚物にまみれていた。そんな彼女を連れ帰った青年は、主人公に湯浴みさせ、服や髪を整えさせる。すると主人公は光輝くばかりの美女に再生した。そして、主人公は青年が自分を幽閉した王に似ていることに気が付く。それもそのはずだ。青年は王の子孫であり、国の王子だったのだ。青年は自分の中に、主人公への執着心を見出すが、それを堪えていた。
そして主人公は男装の麗人として兵となった。城への帰り道で、一行は襲撃に遭うが、主人公が身を挺して青年を守った。このまま二人の距離は縮まるかに見えたが、城で待っていたのは呪術師の青年。しかもその風貌は、かつて主人公に呪いを刻み、王に殺された200年以上前の恋人と瓜二つだった。呪術師は、恋人の記憶まで保有していると言うのだが……。
果たして、主人公と愛し合い、不死の呪いを解くのは王子か、呪術師か?
それとも、他の誰かなのか?
豊かな表現力によって描き出されるキャラクターたちの美しい描写には、目を瞠るものがありました。
是非、御一読下さい。