不死の呪いを解けるのは、愛おしい貴方だけ——。

 主人公はある男に塔の中に幽閉された。枷をつけられ、男の血によって封印された塔だった。男の歪んだ愛情が、どこまで苛烈であっても、主人公は死ぬことが出来ない。何故なら腰に、かつての恋人が施した不死の呪いがあったからだ。
 そこから200年以上も時は立ち、ある青年が主人公のもとを訪れる。しかし長年放置された主人公は、骨と皮ばかりになり、汚物にまみれていた。そんな彼女を連れ帰った青年は、主人公に湯浴みさせ、服や髪を整えさせる。すると主人公は光輝くばかりの美女に再生した。そして、主人公は青年が自分を幽閉した王に似ていることに気が付く。それもそのはずだ。青年は王の子孫であり、国の王子だったのだ。青年は自分の中に、主人公への執着心を見出すが、それを堪えていた。
 そして主人公は男装の麗人として兵となった。城への帰り道で、一行は襲撃に遭うが、主人公が身を挺して青年を守った。このまま二人の距離は縮まるかに見えたが、城で待っていたのは呪術師の青年。しかもその風貌は、かつて主人公に呪いを刻み、王に殺された200年以上前の恋人と瓜二つだった。呪術師は、恋人の記憶まで保有していると言うのだが……。
 果たして、主人公と愛し合い、不死の呪いを解くのは王子か、呪術師か?
 それとも、他の誰かなのか?

 豊かな表現力によって描き出されるキャラクターたちの美しい描写には、目を瞠るものがありました。

 是非、御一読下さい。