概要
「変わった職業体験:他人に話しづらい職業や、仕事上での強烈な経験など、職業に関する実体験エピソードを募集します」
カクヨムコン7小説短編賞 実話エッセイ部門募集テーマである。
この募集テーマを見た時に私はなにか呼ばれたような気がした。
私には、他人に『話しづらい』職業とまではいかないが、他人に『話す機会のなかった』職業体験がある。
こんな経験をしている日本人はそうはいないはず。
(そもそもこんなところに住んで、ホテルで働く人なんてほとんどいないし。)
呼ばれたのなら書くしかない。
(誰も呼んでないけど。)
私が日本人のほとんどいないアメリカのど田舎のホテルで働きはじめて3年ちょっと。
このエッセイは、そこで私が体験し
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- ★★★ Excellent!!!アメリカのホテルの裏側を、ちょっぴり覗いてみませんか
アメリカはサウスダコタのホテルで働く作者様のエッセイという概要を目にし、「これは読まねば!」と開いてみたのがこの作品との出会いでした。
自分が行くことのできない場所で暮らす人々の営みって、テレビなどでも知ることはできますが、編集されちゃっていて良くも悪くも「綺麗なところ」しか見られないんですよね。
文章はライトでサクッと読める長さなのですが、その短い中には、思わず「えっ、マジっすか?」と口走りたくなるような奇想天外なホテルの裏側が紹介されています。
最後にはほっこりともさせてくれる本作。ちょっとした隙間時間にでも、お手に取ってみてはいかがでしょうか。 - ★★★ Excellent!!!ゲンナリ、ガックリ。ため息は尽きない。でも仄かに温かく光るものがある。
身についた感覚はとても根深く、その違いに直に晒される立場になった時、さながら滝行のような厳しさを感じるものだ。その落差や水量を推し量ったところで、身に降りかかるものが小さく軽くなるわけではない。それでもその差の生まれるところを見つめ、今日も滝壺に足を運ぶ。もちろん、いつもの時間に。
これが異国の地で、お子さんが学校に通っている間のことだというから、さらに驚かされる。
何事も自分を基準に考えると、違った感覚で振る舞うものを無意識に悪にしがちである。そこをあえて、自分の感覚からするとこう考えたり感じてしまう、そりゃため息だって出ますよ、と至極正直に語られるエピソードの数々。ここに作者様の物事…続きを読む - ★★★ Excellent!!!肌身で感じさせられる異文化体験
サウスダコタ州という名前は知っているが、私自身、どことすぐに言い当てられることもないし、もちろん、外国に行ったこともないから当然行った試しもないし、おそらく、死ぬまで行くことはないでしょう。
そんな地でのエピソードを、日本人の方から、こういう形で語っていただけるのは実にありがたいし、ためにもなる。
まさに、これこそが生活者として根を下ろした人なるが故の異文化体験。
私とは性別も年齢も何もかも違う方ではあるが、日本人で日本語をもって意思の疎通が可能であるということだけが、おそらくは唯一の接点。
その唯一の接点から、このような作品に出会えたことに、心から感謝したい。
だけど、私には、同じこと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!そりゃ文化が違えばね、とは思うものの……
私はね、こういうエッセイを読みたかったんですよ。海外で暮らしている方の日常というかね。雑誌とかテレビで見るような、オッシャレーな海外生活じゃない、リアルな日常、っていう。
作者様が暮らしてらっしゃるのは、まぁ、ほんとに申し訳ないんですけど、名前くらいしか知らないところでして、どの辺にあるのかなんかもさーっぱりで。
だけどその分わっくわくなんですよ。
ニューヨークシティーのアーバンなアレじゃなくて、もう本当にガチで全然わからないアメリカのどっかのお話なんですよ!
さぁ、お願いします!
と意気込んで読み始めたわけですが――
いやいやいやいや!
なんでそんなことになるんだよ!
おい、もっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!異世界で、異文化で、異言語の中、今日も仕事は続く
作者様はアメリカのサウスダコタにお住いの、子育て中ママさんです。
そこでのお仕事体験をエッセイにしておられるこの本作。
いや、ほんと、思う。
日本人基準で物事を考えちゃいけないな、と。
うちの地区にも最近外国人が増えまして。
お話したり、交流したりすることもあるんですが……。
お互い、文化が違うから、おっかなびっくりなところがありますね。
それが軋轢を生むのではなく、「へえ!」「あ、そうなんだ!」と、驚きながら、ちょっとずつ距離を縮めている感じです。
本作は、そんな距離感や、だからこそ気づく「日本人らしさ」をうまく表現されていて、とても興味深いです。
一話一話の文字数も無理が無いの…続きを読む