概要
生あるかぎり愛せよ、お前の名は残らない
西暦1100年代の中国西部――。
大黎国の東部に暮らす少女・蘭児は、飢饉で食い詰めた親に売られてしまう。本来は妓(娼妓)になるはずが仲介人の雷の機転により、都で限定奉公人である丁となる。しかし、組合のミスで女ではなく男で登録されてしまった。
市場に出た後、蘭児は「李家の若さま」と呼ばれる元皇族の李子鳴に買われる。李子鳴は蘭児に一目惚れしたが、男を愛するのは抵抗があった。李子鳴は廃嫡された皇太子・黎正鵠が幽閉されている女人禁制の円華宮へ連れて行き、そこに蘭児を置き去りにする。
蘭児は正鵠に拾われ、廃嫡殿下の御膳番(毒見役)となり、女であることを隠して暮らし始める。正鵠は政敵・珂家が盛った毒の後遺症で不自由な身体になってしまったが、手話や読唇で意志を疎通し、賢く凛然と生きていた。蘭児は正鵠の傍で
大黎国の東部に暮らす少女・蘭児は、飢饉で食い詰めた親に売られてしまう。本来は妓(娼妓)になるはずが仲介人の雷の機転により、都で限定奉公人である丁となる。しかし、組合のミスで女ではなく男で登録されてしまった。
市場に出た後、蘭児は「李家の若さま」と呼ばれる元皇族の李子鳴に買われる。李子鳴は蘭児に一目惚れしたが、男を愛するのは抵抗があった。李子鳴は廃嫡された皇太子・黎正鵠が幽閉されている女人禁制の円華宮へ連れて行き、そこに蘭児を置き去りにする。
蘭児は正鵠に拾われ、廃嫡殿下の御膳番(毒見役)となり、女であることを隠して暮らし始める。正鵠は政敵・珂家が盛った毒の後遺症で不自由な身体になってしまったが、手話や読唇で意志を疎通し、賢く凛然と生きていた。蘭児は正鵠の傍で
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!一切ぶれないヒロインは芯が通っていて爽快
一見して、エンタメ時代劇の様相を呈しながらも非常に個性的な作品です。
12世紀の中国という時代観に縛られつつも、一切ぶれずに自分が信じる愛を貫き通すヒロインが魅力的です。
この時代の女性は皇后だろうが正妻だろうが男性の所有物。名前も残りません。
女性に生まれた時点で人生の選択など皆無、でも封建的、儒教的な考えと現代の自立して生きる女性観が絶妙なバランスで同居しています。うまく折り合いをつけているかんじ。
一般的なヒロインが、金持ちで美形な男、王子とか皇帝とか貴族とかに選ばれて愛されて結婚することをゴールにしているのに対して蘭児は違います。
貞女でいたいと思いつつも貞女の模範的な生き方にどこ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!卑劣な障害者差別や誹謗中傷をものともしない孤高ともいうべき誇り高さ
これは…と呻らされる作品。毒を盛られた皇太子は障害を負ってしまい、こともあろうに国史にまで不自由な体をあげつらわれ誹謗中傷されてしまう。正史にまで悪く書かれ後世に残ってしまうなんてもう誹謗中傷のスケールが違う。それに対して彼は何もしなかったわけではなく…?
彼はこの境地に達するまでにどれほど苦しんだのだろうかと考えてしまった。
物語はとても静謐で、それでいて力強い。人間の尊厳とはハンデを負っても罵倒されても突き崩せるものではなく。
ひどい言葉に傷ついて傷ついてそれでも屈しなかった心の強さ、誇り高さに心打たれた。