小林恋壱

一度読み、正直意味を理解しきれなくて、もう一度読み直した。そして、もう一度……。三度目、途中で止めた。 紹介文に、10代をテーマにした詩集、と銘打ってある。 僕は10代から随分と…続きを読む

「夜中に書いて次の日後悔する感じを大事にします。」という作者の紹介文に触れ、いつの日からか、「もう大人だから」とその感じを否定していた自分に気づかされた。これらの詩に共感できる心を…続きを読む

あの時にああしておけば…、失恋するたびにそう思った。きっとそれは僕だけではなく、この物語のタイトルに惹かれた人であれば、等しく抱いた願いだろう。 ただ、こうも思う。もし過去に戻れ…続きを読む

ウィットに富んだ概要欄に導かれ、一気に読み上げた。 お酒が得意ではないため、実世界ではウィスキーボンボンを口にすることはないが、この作品は二度味わった。 余談ながら、ウィスキーボ…続きを読む

何かの読み物で目にした、「どんな短い人生にも四季がある。若くして亡くなってもそれは寿命であって、その短い寿命の中にも必ずまぶしい季節があったはず」という言葉を、ふと思い出した。 …続きを読む

コロナを経験する前であれば、“小説”として読んでいたであろう物語が、コロナ禍を経験した今、リアリティを帯びた物語として迫る。また、１０００の愛の言葉より、１度のキスであることも、今…続きを読む

一度読み終えた後ほど、？となり、何か見落としがあったかと思い、再度読んでみたが、やはり一度目と同じだった。なにかしらに化かされたようで、それでいて不愉快ではなく、どちらかというと心…続きを読む

僕は結婚して１０年が経ち、今は、子供が２人いる。だから、独り身も、妻との２人暮らしも、そして、３人、４人の暮らしも経験した。結婚がすなわち幸せか？子供がすなわち幸せか？と問われれば…続きを読む

正直に言うと、サウスダコタという州があることすら知らなかった。そのため、サウスダコタってどんなところなの？という興味だけでも全話読んでしまえる勢いだったが、それに加えて、途中で出て…続きを読む

話のひとつに、「初心者であることの恍惚と不安、二つ我にあり」という話があるが、カクヨムの魅力はまさに、文章の端々から、ときに恍惚、ときに不安が垣間見れるところにあると感じており、そ…続きを読む

将棋の専門誌『将棋世界』編集長を経て、作家となった大崎善生さんのデビュー作『聖の青春』を読んで以来、将棋に関する本や棋士の書いた本を読み漁った私にとり、すごく興味深いエッセイの数々…続きを読む

「140字もあるのなら 君を語るには足りずとも 君を想うには満ち足りる」というキャッチコピーにあるように、語れども語れども届かない君を追いかけるように、140字を重ね、本日時点で３…続きを読む

出だしの一文を目にしたとき、これはきっと最後まで読むだろうな、と予感がした。また、物語の内容もさることながら、雨の音が聴こえるほどに、花の香りが漂うかのように、自然描写が美しく、景…続きを読む

内容の不可思議さに、文章の確かさが掛け合わさり、すごく惹きつけられた。個人的には、文中で出てくる広告画面の描写へのこだわりに、くすりと笑ってしまった。『汐風ドレス』というタイトルも…続きを読む

恋愛や失恋、友情、この物語に出てくるそれらの要素は、誰しもが経験することであり、僕にも経験がある。それがため、「あぁ、こういうのあったな」「あんな友達いたな」と自身の経験を踏まえつ…続きを読む

ここで描かれている世界が、作者言うところの「妄想」なのか、ある程度現実にそくしたものなのかはわからないが、どちらにせよ、全体を通して、色鮮やかでありつつも、無色透明でもある、不思議…続きを読む

香りを楽しむかのように、まずはタイトルを見渡した後、ひとつひとつの詩を読み進めていった。『雨』という詩の中に、「心臓の音と雨音がせめぎ合い」という一節があるが、まさに、生きようとす…続きを読む

ミステリーと銘打ちつつも、描かれているのは誰にでも覚えがあるような日常であるため、ここからどうやって展開していくのだろうか、と逆に興味を惹かれた。また、文章全体としてポップな雰囲気…続きを読む

「詩人は、賞賛など求めていない。信じてもらいたいだけだ」という言葉を思い出した。一連の詩において、「月」「星」「太陽」「雨」「桜」と、自然を扱ったものが多い（個人的には、それらが特…続きを読む

冒頭から数行読み進めたとき、これ、「赤いきつね」「緑のたぬき」のコンテスト作品だよな？と思わずカテゴリーを確かめてしまった。が、そこから数行ののち、カテゴリー間違いではないことに気…続きを読む

作者自身の紹介文に「ぼやき」とあり、各話のタイトル、内容もそのように見て取れたので、気楽に読み進めていたが、途中で気が付く。ぼやきの皮を被っているが、作者の知識・思想が散りばめられ…続きを読む

まず、「母と恋バナ」という、自身の中で相容れない組み合わせに虚を衝かれた。内容は、まさにタイトルにある通り「俺が母に孫の顔見せられない理由」がベースになっていて、ともすれば重く受け…続きを読む

若い頃は、良くも悪くも、死がすべてを解決するものだと思っていたが、いつからかそうではないことを知った。故人との生前のやり取りを、良き思い出として余韻に浸ることができる人は幸せで、あ…続きを読む

仕事の合間に、「５００字なら」と読んだが、俳句が、盆栽が、その窮屈さゆえに大いなる世界を創造し得るのと同様、広々とした世界観にどっぷりと浸かることができた。特に、「愛が辿り着いた場…続きを読む

小説の醍醐味を非日常のときめきにあるとすれば、エッセイの魅力は、日常にひそむきらめきを再確認することだと思っている。その意味で、何気ない毎日のなかの、ちょっとした出来事に焦点を当て…続きを読む

ほんの一夜の夢を覗き見たような、不思議でいて、心地好い読後感。夢から覚めると、暗示をかけられたかのように、タヌキより、キツネより、テンが好きになっていた。

「無理しないで」「頼って」「泣いていいよ」。誰しもが日常においてその言葉を待っているが、実際にそう言ってもらえる機会は多くない。ただ、日常を離れ、ネットに、小説にその言葉を求めれば…続きを読む

現在は症状も回復傾向にあるとのことですが、病を機に、死を覚悟した人だからこそ獲得できた「末期の眼」を通して見えた景色が綴られており、その景色は、とても美しく、とても優しかった。

ゴッホは生涯生活に窮し、対してピカソはお金持ちだった、というのは有名な話。まさに、本エッセイの根底にあるのはゴッホのような生活苦、悲壮感ながらも、ピカソの色彩のような華やかな文体で…続きを読む