雨の日のトラウマに囚われて六年。幼馴染の二人は距離を縮められないでいた。
でも二人とも学生で、それぞれの時間を進んでいく。
ナオはいつまでも優香のことを思い続けていて、優花は心の傷を癒してくれる人を求めた。
気持ちは一度すれ違ったら、もう二度と同じ場所には帰って来ない。同じ時間が二度と流れないように。
でも、ナオは……いや、二人はトラウマに向き合うことができた。
過去は取り戻すことはできないし、愛してしまったらなかったことにはできない。
仄暗い群青に抱かれてもなお明るい傘の中で、二人は前に進んだんだと思う。
ペトリコールと紫陽花に包まれて、白く煙る青春。
雨の日に切り取られた一瞬の、少年少女の成長をご覧ください。