死ですら断つことのできないもの

若い頃は、良くも悪くも、死がすべてを解決するものだと思っていたが、いつからかそうではないことを知った。故人との生前のやり取りを、良き思い出として余韻に浸ることができる人は幸せで、ある人は故人から投げかけられた言葉に、ある人は故人との関係に未だ苦悩を覚える。死ですら断つことのできない感情に、戸惑いと、やるせなさを抱えた作者の吐息が聞こえてくるような、そんな作品。