概要
それは欲求不満との戦い。
「キス禁止で頑張ろうね」
二十四歳の秋。憧れの会社の先輩と両想いになると同時に、プラトニック・ラヴ宣言をされてしまった。
茫然自失。今にも枝から飛んでいきそうな枯れ葉のようなわたしに、玉水先輩は今日も優しい眼で微笑む。
ああ、なんて恨めしいこの世界。
わたしはただただ頷くしか無かった。
₍ᐢ⑅ • ༝ • ᐢ₎とってもありがとう!
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!女性らしさ、
OLのチカは、憧れの先輩ダイシと両思いになり結婚の約束を交わす。しかし時は近未来、ウイルス感染対策が今よりももっと徹底された時代。当たり前のことなのかもしれないが、一つの言葉がチカにグサッと刺さるのだ。「キス禁止で」だってさ。
このレビューのタイトルなのですが。「女性らしい」という言葉を使ってよいものかどうか迷ったのです。ほら、世にはジェンダーフリー的な思想もあるではないですか。そのなかでこの言葉を使ってよいものかどうかと。
しかしながらですが、「女性らしさ」というのは本短編の特徴の一つであるため、やはりこの言葉をタイトルにしようと決意しました。
チカは「キス禁止」と言われたことに対して…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この物語が、コロナ禍における幸せな魔除けとなりますように
題名のウェディング・ベールは花嫁の象徴であり、結婚式をロマンチックに仕上げてくれます。特にベールアップ。花婿がベールを挙げる行為には、新郎新婦を隔てている壁をなくすという意味があります。二人の幸せを思い、ドキドキしてしまう瞬間です。けれど、この物語の世界観は、コロナ禍の現在よりも厳しいものでした。
チカは憧れの先輩と晴れて両思いに。キスもスキンシップもしたいのに、感染症のせいで密着できない。そんな切ない恋心が丁寧に描かれ、のたうち回りたくなります。だって耐えられない瞬間は多々あるはずだもの。
普通の交際と比べれば制約がたくさんあるし、ずっとマスクを着けなければいけない。恨めしいこの世界が…続きを読む