急性前骨髄性白血病という恐ろしい病気に冒されながら、規則規則規則で武装した病院に白兵戦で挑んだ男の壮絶極まりない実話です。
ライトでポップな作風で読者を楽しませてくれる、あの永嶋良一氏が、かつて大病を患い、死の淵から見事に生還を成し遂げるまでの経緯が軽妙洒脱な筆致で克明に描かれます。
時に笑いあり、時に涙あり。
献身的な白衣の天使にお世話され、蝶よ花よと大事にされて、有能な医師にも恵まれて、無事に回復できて良かった、といった感動の闘病記とも一味違う、作者ならではの面白エンタメ作品かと思いきや……。
読み進めるにつれ、次第にシビアな現実が顔をのぞかせます。
患者の命ではなく、自らの保身を優先する病院側の姿勢に呆れた!
憤怒で私の脳の血管はブチ切れた‼!
やがて読者は気づくはずです。
「容態が急変」という言葉に掩蔽された悍ましい実態に。
ままならぬ身で「病」と「病院」に立ち向かい、ついに勝利した永嶋良一氏。
そこに至るまでには、血の涙を流しながら絞り出した工夫と機転と持ち前のインテリジェンスがありました。もしかしたら、神のご加護もあったでしょう。
彼なればこそ成し得た、地獄からのエクソダス。
この奇跡の軌跡たるや!
凄いエッセイです。是非、ご一読ください。
病気の宣告から入院、闘病生活でのご心情や出来事がとても丁寧に、そしてリアルに綴られていて、心に迫ります。
「重くない話」と作品の紹介文にあるとおり、本当に重くなく読めてしまう闘病記です。作者さまのお人柄が滲み出ているような、温和なやわらかい文章で書かれているので、ぐいぐいと惹き込まれ、スラスラと読み進めることができました。
まだ最新話まで読み進めてはいないのですが、おすすめさせていただきたい気持ちから、先んじてレビューを書いた次第です。とにかく、たくさんの方に読んでいただきたい――読後は生きることへの真摯な気持ちと、勇気とをいただけるような、そんなエッセイです。