サイバーパンク×ホテルという着眼点から、「未来都市」ものに求めるツボと夢を的確におさえた良作。
治安の荒れに荒れた貧困地区のホテルから、中央の最先端の高級ホテル、若者の街のテーマパークなホテルまで、実際に未来都市に入り込んだような感覚で楽しめる。
そこに挟まれる、新鮮な書き方のアクションバトルの描写も必見。
最強だが情緒の乏しい少女カーバンクルと、ちょっと情けないがやる時はやるオジサン探偵ヘクトの、どちらも守る側の保護者でどちらも守られる側のような、不思議なバディ関係も絶妙。
都市好き、サイバーパンク世界観好き、そしてついでにホテル泊好きとして「これだよこれこれ!!!」と興奮させられました。とても満足。
宿泊したホテルに星をつけて、良かった点や満足できなかった点をレビューに綴る少女。
本作の魅力をそのように表現すれば、ほのぼのとした日常もののように感じられるでしょう。しかし、本作の舞台は人殺しや強盗のほか賞金稼ぎが闊歩する、悪徳と非合法がはびこるネオ・アルカディア。治安の悪い世界において、ホテルは一息つけるオアシスでした。
そんなホテルを転々としているのは、少女カーバンクル。見るからに家出少女のような出で立ちの彼女は、人間離れした水色の髪と宝石を彷彿とさせる赤い瞳が特徴的でした。寄ってくる悪い虫に、非力そうなカーバンクルは太刀打ちできないかと思えたのですが――信じられないほどの実力を秘めていました。コンマ何秒で繰り広げられるバトルシーンは圧巻です。
ひょんなことから、訳あり探偵ヘクトの護衛を引き受けてしまったカーバンクル。平穏にホテルで羽を伸ばせることはできるのでしょうか?
宿泊できるならホテルは安くすませたいとお思いの貴方。本作で見方が一気に変わりますよ。
サイバーパンク……スラム街のような荒涼とした街。未来のテクノロジー。
そこを歩くは、まだ幼さの残る、整った顔立ちの美少女。
髪は水色。瞳は血のガーネット。少女らしい細腕で……めっぽう強いのである。
それもそのはず。
彼女は高額の賞金首。挑んだ賞金稼ぎが帰ってこないという伝説の……。
バトルシーンが、目を引きます。
一秒コンマ、の世界でバトルが展開されていくからです。
迫力! わかりやすい! おもしろい!
これだけで物語が成立しそうです……、が!
この物語の魅力は、これだけではないのです。
この美少女の趣味(?)は、ホテルめぐり。
サイバーパンク、未来のテクノロジー、荒んだ街、と、無理なく融合した、ホテルめぐりです。
お部屋レポ、食事レポ、お風呂場レポ、は、お約束。
え〜! 面白い!
いろいろかけ合わさって、面白さが二倍、三倍になっている印象です。
文章は読みやすく、わかりやすく、説明すべきところはしっかり説明されているので、どんどん先が読みたくなりますよ!
おすすめです。
ぜひ、ご一読を!
謎めいた美少女《カーバンクル》の逃亡劇?を主軸に、サイバーパンクシティ『ネオ・アルカディア』の風景……具体的には”食生活””通貨””アメニティ””家電””施設””交通機関”といった近未来描写が秀逸な本作。
もちろん、サイバーパンクには欠かせない”人体改造(サイバーウェア)”要素も登場し、華奢に見える《カーバンクル》が戦闘用インプラントを施したゴツい賞金稼ぎを数秒で倒してしまう””バレットタイム戦闘”も本作の大きな魅力だ。
サイバーパンクに付随する”猥雑さ””容赦ない残酷さ””殺伐さ”は幾分マイルド仕立てなので安心してほしい。むしろ、ちょっとした”おかしみ”を感じずにはいられない”軽妙さ”が漂ってるのは、作者様の筆力だろう。
是非是非、他の読者の方々もお読みいただきたい<(_ _)>