このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(120文字)
なんとなく、感傷的になりたい日。 そんな日にぴったりのお話です。 字数もちょうどよく、心にすっと溶け込んできます。 ぜひ読んでみてください。
大人に憧れた少年時代の記憶が、夏の華やいだ祭りで美しく鮮やかに蘇る。大人なになった貴方は社会の荒波を泳いでいますか?そんな問いを投げかけられたように思えました。隙間時間に読む事ができるお勧めの作品です。
日常に疲れてしまった主人公が、知らない駅で電車から降り、知らない道を歩き出す。そこに広がる「夏祭り」の風景は、彼がどこかに置いてきてしまった大切な時間を思い起こさせる。走り出す記憶。淀んでいた時間が再び流れ出す。淡々としながらも美しい言葉の数々が、鮮やかな映像を映し出してくれます。ルーティンのような日常のひととき、ふと足を止めて、ふと電車から降りて。忘れていた大切なものを、一緒に捜しにいってみませんか。
夏の終わりにこの作品を読みました。妥協の人間関係。つまらない仕事。余裕のない人生。大人になるといつしかそんなものに飲み込まれ、キラキラした時間を忘れてゆく……。そんな今の私には突き刺さる作品でした。子供の頃は胸の躍る瞬間がたくさんあったはず。思えば夏祭りもその一つですね。コスパの悪い食べ物で散財。浴衣を着たあの子と一緒に金魚掬い。楽しかったなぁ。大人にはお金もある。裁量もある。でもどうしてこんな寂しいのだろう。そんなふうに感じている私のような方がいらしたら、ぜひ手にとっていただきたい一作です。
この時期だからでしょうか?夏祭りって子どもにとっては楽しいだけなんですけど、大人になると思い出すことが多すぎて…。今を生きていくってことは、当たり前なんだけど大変なこと…。昔好きだった人を少しだけ振り返る良い機会を頂きました。素敵なお話しです。作者様、ありがとうございました。
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