概要
勝利の栄光と前線の惨禍、二つの戦争が交差する
終戦後も戦場の悪夢に囚われたままの追放聖女と戦禍の記憶を消し去りたい銃後の人々の物語。
僕の婚約者はかつてセプテントリオの妖精姫と呼ばれていた。
銀糸のような癖のない髪に透き通った碧玉の瞳。儚げな美貌に柔らかな微笑をたたえ、誰にでも穏やかに接する彼女は理想の令嬢、いや姫君だ。
彼女は僕の自慢の婚約者だった。僕の身代わりとしてあの泥沼の戦場に彼女が行ってしまうまでは。
ようやく平和が訪れて、帰って来た彼女を僕は生理的に受け付けることができなかった。
何も映していないような虚ろな瞳。周囲にピリピリとした空気をまき散らし、精神を削り取るような緊張を強いるあの眼光。
彼女の精神は今もあの戦場で泥の中を這いまわり、血と糞尿をすすってもがき続けているのだろう。
僕はそんな惨めな戦争
僕の婚約者はかつてセプテントリオの妖精姫と呼ばれていた。
銀糸のような癖のない髪に透き通った碧玉の瞳。儚げな美貌に柔らかな微笑をたたえ、誰にでも穏やかに接する彼女は理想の令嬢、いや姫君だ。
彼女は僕の自慢の婚約者だった。僕の身代わりとしてあの泥沼の戦場に彼女が行ってしまうまでは。
ようやく平和が訪れて、帰って来た彼女を僕は生理的に受け付けることができなかった。
何も映していないような虚ろな瞳。周囲にピリピリとした空気をまき散らし、精神を削り取るような緊張を強いるあの眼光。
彼女の精神は今もあの戦場で泥の中を這いまわり、血と糞尿をすすってもがき続けているのだろう。
僕はそんな惨めな戦争
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!人間の本質について深く考えさせられる物語である。
1 読む前の印象や予想など(表紙やあらすじなどから想像したこと)
まずどうして彼女が身代わりになったのか? ということがとても気になる。
戦争に行ってしまうまでは自慢だった彼女を受け入れられなくなった主人公。しかしそこには愛も感じる。主人公はどんな道を選ぶのだろうか?
2 物語は(どのように始まっていくのか?)
真実は分からないが、主人公が婚約者を罵倒し屈辱的な言葉を浴びせるところから始まっていく。しかし主人公の言い分は自己中心的な嫉妬心や承認欲求であることが伝わって来る。保身のために他人を貶める卑しい行為であることが。主人公に対し味方をしたくならない物語というのはとても珍しい。一体どうい…続きを読む