堕ちた聖女の最期
フェルはなおも戦友たちとの想い出を語る。
「エルシスは際立って美しい女性でした。
博識なクメリーテはノヴゴロドに留学していた事があるそうで、待機中に
しんと静まり返った広場の中、フェルは
「マイプティアは頑張り屋で、仲間の戦車が撃破されると即座に操縦席に取りついて負傷者を動力炉が爆発するまでのわずかな間に安全なところまで引っ張り出しました。
『負傷者を運んでいる途中で急に重くなる時があるの。人間ってね、死ぬと重くなるのよ』
そう、語っていたのをよく覚えています。
ピオニーアは話し上手で、どんなに
フェルは六人の戦友の名を出すと、少しだけ息をついて、虚空を見つめて微笑んだ。そこに彼女たちの姿を見ているかのように。
「みな美しく、真面目で清純な、素晴らしい乙女たちでした。
巷で噂されるような、男漁りのために軍に入って日夜乱痴気騒ぎに耽るような、ふしだらな女性とは真逆の存在です。
しかし、彼女たちは帰還することができませんでした。
あるいはぬかるむ湿地の戦場で、あるいは凍てつく森の中で、あるいは燃え盛る炎に包まれた村で。彼女たちは一人、また一人とその花の生命を散らし、未だこの世にしがみついているのは
その
ですからここにお集りの皆さまは、
それが
言い終わるや否や、彼女は処刑台に
そして次の瞬間、慈悲の刃が彼女の細い頸に打ちおろされ、ゴトリと丸いものが落ちた。
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